(※写真はイメージです/PIXTA)

後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「成年後見制度の手続きに必要な診断書の取得方法や様式・書き方、費用」について詳しく解説します。

成年後見制度とは? 大きく2つの制度に分けられる

成年後見は認知症・知的障害等の理由で判断能力が不十分な人を対象に、次のサポートを行うため設けられた制度です。

 

・身上監護:病院への入院・介護施設への入所をはじめ、各契約・手続き等の法律行為

・財産管理:財産の維持・流出防止

 

成年後見には「任意後見制度」「法定後見制度」の2つがあります。

 

任意後見制度

任意後見は後見を依頼する本人と、任意後見人になってくれる人が、契約を締結する制度です。身上監護・財産管理の枠内であれば、原則として自由にサポート内容を設定できます。

 

ただし、後見を依頼する本人の判断能力が十分な時に契約し、かつ契約書は「公正証書」(公証人という公務員が作成する公文書)で作成しなければいけません。

 

その後、後見を依頼した本人の判断能力が低下したら、任意後見人になってくれる人(任意後見受任者)等が、家庭裁判所に任意後見監督人選任を申し立て、監督人選任後に任意後見が開始されます。

 

法定後見制度

法定後見は本人の判断能力が低下した後で家庭裁判所に申し立て、その後見人を決める制度です。家庭裁判所は申立人の意見等を聴き、本人に必要なサポート内容を決めます。

 

なお、法定後見では本人の判断能力の衰えの程度で「後見」「保佐」「補助」に分けられます。

 

 

本人の判断能力の状態によって、下表のように後見人の権限の範囲も変化します。

 

 

なお、本人の日常生活に関する行為(例:日用品の購入等)は、いずれの場合も後見人の権限で取消等はできません。

成年後見人の申し立て手続き方法を解説。必要な書類とは?

任意後見制度・法定後見制度では、それぞれ手続きの流れ・必要書類が異なります。

 

任意後見制度の場合

任意後見の手順は次の通りです。

 

1.任意後見人となってくれる人を選び合意する

2.公証役場で任意後見契約の公正証書を作成

3.任意後見が必要な状態となった場合、家庭裁判所に任意後見監督人選任申立てを行う

4.任意後見開始

 

申立ては本人の住所地を管轄する家庭裁判所で行い、主に次の書類を提出します。

 

・申立書:家庭裁判所の窓口等で取得

・申立事情説明書

・親族関係図

・財産目録

・相続財産目録

・収支予定表

・任意後見受任者事情説明書

・本人情報シート(任意提出)

・本人の戸籍謄本(全部事項証明書):本籍地の市区町村役場で取得

・任意後見契約公正証書の写し

・本人の成年後見等に関する登記事項証明書:法務局・地方法務局の本局で取得

・医師の診断書

・本人の財産に関する資料:不動産登記事項証明書、通帳の写し、残高証明書等

 

必要書類を収集し家庭裁判所へ申し立て後、約1ヵ月で任意後見監督人選任の審判が下ります。

次ページ申し立てに必要な医師の診断書とは

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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