インボイス登録しなくても不利益がない「2つのケース」
では、インボイス登録せず、従来通り、免税事業者のままでいられるケースはあるのでしょうか。
実は、インボイス制度が施行されても免税事業者に不利益が発生しないか、少ないケースが2つあります。以下のケースです。
1. 主な顧客が「一般消費者」であるケース
2. 主な顧客が「免税事業者」または「簡易課税制度を選択している事業者」であるケース
これらの場合は、インボイス登録をしなくても支障はないといえます。
それぞれについて説明します。
◆主な顧客が「一般消費者」であるケース
一つめは、商品・サービスを販売する主な顧客が「一般消費者」であるケースです。
一般消費者はそもそも、消費税の納税義務を負わないので、「仕入税額控除」をする必要がありません。したがって、一般消費者に対してインボイスを発行する必要がありません。
この場合は、免税事業者のままでも何ら不都合が発生しないことになります。
◆主な顧客が「免税事業者」または「簡易課税制度を選択している事業者」であるケース
二つめは、主な顧客が「免税事業者」または「簡易課税制度を選択している事業者」であるケースです。
まず、「免税事業者」の顧客は、そもそも消費税の計算をする必要がないので、インボイスを発行してあげる必要がありません。
次に、顧客が課税事業者だったとしても、その顧客が売上高年間5,000万円以下で前述した「簡易課税制度」を選択している場合は、売上税額の一定割合だけを納税すればよいことになっています。したがって、「仕入税額控除」の計算が不要なので、インボイスを発行してあげる必要がありません。
ただし、取引先が年間売上5,000万円を超えて「仕入税額控除」をすることになった場合には、不利益を受ける可能性は否定できません。
インボイス制度の施行は10月に迫っています。しかし、筆者が認識している限り、ある程度の規模の法人(会社等)でさえ、インボイス制度への対応が遅れているところが多くみられます。ましてや、個人事業主の場合、インボイス登録をするかしないかについての判断が困難になるのはやむを得ない面があります。
免税事業者の制度自体が廃止されるわけではなく、インボイス登録をしなくても支障がないケースもあります。インボイス登録の必要があるのか、顧客の属性や関係性も考慮し、慎重に判断することをおすすめします。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ 共同代表
公認会計士
税理士
指摘率トップ!「名義預金」を税務署はどうみているか?
相続税の税務調査の実態と対処方法>>6/5(木)LIVE配信
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【4/22開催】『オーナー経営者は
なぜ事業承継M&Aで失敗するのか
―中小企業M&Aの実例に学ぶ絶対に
知っておくべき業界の真実』出版記念セミナー
【4/22開催】高所得者・高収益法人が
注目している、長期保有に向く
良質な航空機投資とは
【4/23開催】絶対に見逃せない!
相続問題の究極の解決策とは
相続・事業承継を円滑に進める
「生命保険の活用法」<基礎編>
【4/23開催】あなたの“相続
・事業承継対策”間違えていませんか?
相続人・被相続人ともに知っておくべき
賃貸不動産オーナーの「信託
・遺言・資産管理法人」の使い方
【4/24開催】プライベートアセット、
ヘッジファンド、コモディティ…
世界の富裕層が「オルタナティブ投資」
を活用する理由