(※写真はイメージです/PIXTA)

「争族」という言葉があるほど、相続の現場では多くのトラブルが起こります。それまで仲の良かった兄弟でも、相続をきっかけに絶縁状態になってしまった、という例は珍しくありません。佐藤孝さん(仮名・45歳会社員)も、兄弟間における相続問題を抱えた一人でした。──本記事は、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』監修のもと、実際にあった相続事例をお届けします。

亡き父がかけてくれた保険

人生には、予期せぬトラブルに遭遇することが度々あります。トラブルが大きければ大きいほど、困惑し、眠れない夜を過ごすことになるかもしれません。

 

佐藤孝さん(仮名・45歳会社員)も、そんな状況に直面した一人です。孝さんが弁護士である私、鈴木の元に相談に来たのは、梅雨が明け、本格的な夏が始まろうとしていた頃でした。

 

「突然お伺いしてしまい、本当に申し訳ありません」私が代表を務める弁護士事務所に訪れた孝さんは、とても物腰が低く、丁寧な言葉遣いをされる方でした。そして、ゆっくりと椅子に腰を下ろし、話し始めました。

 

「とんでもありません。一体どうされましたか?」と私が尋ねると、孝さんは「実は自分が受け取るはずだった保険金の受取人が、いつの間にか変更されていて……。どうしたら良いかわからず、こちらに相談に来ました」と、少し声を震わせながら話しました。

 

「それは大変ですね」私は状況を理解するために、まずは孝さんの家族構成をお伺いすることにしました。

 

「私は、一般的な家庭よりも少し複雑な環境で育ちました」

 

孝さんは、4人兄弟の末っ子として生まれました。幼い頃に両親が離婚し、孝さんは父親に引き取られたそうです。

 

残りの3人の兄弟は、平日は母親側の家に住み、休日は父親側の家で過ごすといった生活をしており、正式にどちらかに引き取られることはなく、曖昧な環境のままで育ったと言います。

 

「4人兄弟の中で、これまで私だけが父と共に生活し、持病のある父の世話をしていました。父の持病のために、料理や掃除などの家事はもちろん、外出時には車を運転したり、病院に付き添ったりと、日々の生活の大部分を支えていました」と孝さんは続けました。

 

しかし、そんな父親をサポートする孝さん自身にも、困難なことがありました。見た目では分からないですが足に障害があり、長時間歩くと足が痛くなり、自由に動くことが難しくなるとのことでした。

 

そんな孝さんのことを、亡くなった父親は生前から心配しており、「お前には障害もあるから、保険をかけておこう」と言って、生命保険に加入していました。

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※本記事は、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイル監修のもと、作成しています。

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