(※写真はイメージです/PIXTA)

「争族」という言葉があるほど、相続の現場では多くのトラブルが起こります。それまで仲の良かった兄弟でも、相続をきっかけに絶縁状態になってしまった、という例は珍しくありません。佐藤孝さん(仮名・45歳会社員)も、兄弟間における相続問題を抱えた一人でした。──本記事は、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』監修のもと、実際にあった相続事例をお届けします。

発覚した衝撃的な事実

そして、父が亡くなり、孝さんが総額1,000万円の保険金を受け取れることになったとき、衝撃的な事実が明らかになりました。

 

孝さんは父親から「お前に」と言われていたため、保険の受取人は自分一人だと思っていましたが、実際には孝さんの兄、長男の名前も記載されていたのです。

 

「長男は母親が亡くなったときに、母親が所有していた都内の不動産を譲り受けたようですが、母親の生前から、仕事もせず遊び歩いている人間でした」と孝さんはため息混じりに話しました。

 

しかしそんな長男も、母親が亡くなった後に受け継いだ不動産が、孝さんと父親の住んでいた家の近くにあったということもあり、時折父親の様子を見に来ていたそうです。ですが、父親のもとに行っていた理由は、どうやら父親のサポートをしに行っていたわけではなかったようです。

 

なんと長男が帰った後、家にあった金目のものが無くなるということが度々起きたと言います。

 

「そのようなことが増えてから、長男とはなるべく距離を取るようにしていました。その後しばらくして、長男が突然家に来なくなりました。これはちょうど、他の兄弟から私が保険金を受け取るという話を長男が聞いた時期と同じタイミングでした。この頃に、保険金の受取人が変更されていたのではないかと思います」

 

悔しそうに話す孝さん。しかし、保険金の受取人を変更するには、保険の加入者本人(父親)が変更を行う必要があります。

 

長男が父親に強要して受取人を変更したのか、それとも父親の意思で変更したのか、定かではありません。詳しく調べる必要があると思い、私は保険会社の担当者に話を伺うことにしました。

 

しかし、担当者の対応はあいまいでした。受取人を二人に変更する際に何か聞いているはずだとは思いますが、詳細は語られませんでした。

 

いずれにしても、加入者がすでに亡くなっている以上、受取人を変更することはできません。結果的に、この保険金は長男と孝さんで半分ずつ受け取ることとなってしまいました。

 

「仕方ない、諦めるしかないですね…」孝さんの悲しげな表情とその言葉に心が痛み、他に何か望みはないのかと考えた私は、孝さんと協力して父親の保険契約について徹底的に調査することにしました。

 

孝さんも知らなかったこと

そんなある日、父親がある別の保険契約を結んでいたことを発見しました。その契約は孝さんも知らないものでした。

 

父親は、孝さんのために別の保険契約をこっそり結んでいたのです。

 

結局、問題となった保険金は兄弟で半分ずつに分けることとなりましたが、別で契約していた生命保険の保険金は全額孝さんが受け取ることになりました。

 

「この問題に気づいたときには、無事に解決できるとは思っていませんでした。父親も天国で、僕たち兄弟が争うことを望んでいないと思います。だから、この問題が早く解決したことには父親もホッとしているでしょう。本当に感謝しています」と、孝さんは涙ぐみながらも、笑顔でそう話してくれました。

※本記事は、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイル監修のもと、作成しています。

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