子どもに淡い期待を与えることはやめる
Q5:パパ・ママとも、またいつか一緒に暮らせるの?
いったん別居しても、もう一度同居を始めることは、もちろんあり得ます。どちらかの親が依存症や病気の治療を行い、また戻ってくるというようなこともあります。治療や問題の整理のために、片方の親が別のところで暮らすことになったのだとしたら、そのことをきちんと子どもに伝える必要があります。
しかし、別居と同居を繰り返すこと、同居の可能性は限りなく低いのに子どもに淡い期待を与えることはやめましょう。別居と同居を繰り返すと、子どもは、両親の関係がいつも気になって自分の生活を楽しむことができなくなります。不安ばかりが大きくなり、おとなを信頼できなくなってしまいます。
子どもは、父親と母親がまた一緒に暮らしてくれることを願うものです。もし、子どもが期待を持っているようだったら、次のように告げましょう。
「パパとママは、もう一緒に暮らすことはできないの。家族で過ごす楽しい時間をあなた(子ども)から奪ってしまうことは、本当に申し訳ないと思っているわ。だけど、パパとママは一緒にいるとけんかばかりしてしまうから、別のところで暮らすことに決めたの。本当にごめんなさい」
もう家族で暮らせない現実を受け入れることは、子どもにとってとても辛いことです。しかし、両方の親と良い関係が維持でき、適切なケアがあれば、子どもはちゃんと立ち直ることができます。
一方、淡い期待が残っていると、子どもは両親をつなぎ止める“かすがい”になれると思い、親の間を取り持つことに懸命になって、子ども自身の生活を送ることができなくなってしまいます。
いつまでも「ひとりになってしまった親(別居親)がかわいそう」という思いから抜け出せず、別居親のために自分の時間やエネルギーのほとんどを注ぐということにもなってしまいます。「自分が問題(病気)を抱えていたら、両親は心配してまた一緒に暮らそうとしてくれるかもしれない」という気持ちから、体調不良や不適応を起こす子どももいます。
子どもに新しいパートナーをどう紹介するか
Q6:再婚って何? 新しい家族ができるってどういうこと?
離婚後、両親それぞれ、もしくはいずれか一方に新しいパートナーができることがあります。それは自然なことだし、とても喜ばしいことです。離婚で沈んでいた心を明るくし、愛し、愛されながら新しい人生を生きていくという希望を与えてくれます。
しかし子どもにとってはどうでしょう。親の再婚は、「両親が仲直りし、また一緒に暮らす」という子どもの淡い望みを打ち砕きます。
子どもの気持ちや混乱を理解し、ゆっくりと、①「前の結婚は終わった」と子どもにわかってもらい、②子どもが親の離婚の衝撃から立ち直れるよう努力し、子どもが変わらず両親との絆を感じられるようにしてあげましょう。
③新しいパートナーを紹介する前に、子どもが新しい家族や生活の可能性についてどう感じているかを尋ねてみましょう。「たとえ新しい家族ができても、あなた(子ども)の居場所が奪われるわけではない」と、しっかり伝えることが大切です。
④子どものペースに合わせて、パートナーを紹介しましょう。すぐに子どもが住む家にパートナーを呼んだり、子どもとパートナーが鉢合わせになるようなことは避けましょう。元配偶者にパートナーのことをあらかじめ伝えておけると理想的です。
⑤子どもが一緒に遊べる場所でパートナーを紹介しましょう。子どもの前でのパートナーとのスキンシップや「パートナーはいい人だ」と押しつけるようなことは止めましょう。もちろん、パートナーが子どもの同居人にふさわしい人かどうかのチェックも忘れずに。「親になろう」とへんに頑張りすぎていたら要注意です。