日本の母子家庭、養育費が支払われている率は「わずか24.3%」…先進国に例がないほど低いレベル。一体なぜなのか?

日本の母子家庭、養育費が支払われている率は「わずか24.3%」…先進国に例がないほど低いレベル。一体なぜなのか?
(※画像はイメージです/PIXTA)

子どもが健やかに成長するためには、両親から愛されていることを実感しなければいけません。しかし、その両親が決別した場合、子供の幸せはどうなってしまうのでしょう。この連載では、『子どもの権利条約に基づいた 子どもが幸せになるための、別居・離婚・面会交流のすべて』(自由国民社)からの抜粋転載で、様々な事情により別居・離婚をすることになった親が、共同で子どもを幸せにするためにはどうしたらいいか考えていきます。

養育費を請求しないのは「子どもの権利侵害」

ひとり親家庭の貧困が深刻です。その大きな理由はひとり親手当が足りないこと。もう一つの理由は、養育費が支払われていないことです。母子家庭の場合、養育費の支払い率はわずか24.3%です。この数字は、先進国に例がないほど低いレベルです。

 

なぜ養育費は支払われないのでしょうか。そもそも、取り決めをしてから離婚した割合が42.9%しかありません。6割近くが、口約束さえしないまま離婚しています。

 

養育費の取り決めをしていない母親に理由を聞いたアンケート調査(注1)をみると、9割以上が取り決め以前に、話し合いさえ試みていません。条件はどうでもいいからさっさと別れたい、と考える人が多いことがわかります。

 

「戸籍が汚れる」という表現があるように、離婚を恥ととらえ、お金のやり取りさえ断ち切りたい人もいるようです。気持ちは理解できなくもありません。しかし、衝動的な離婚は、子どもの貧困への第一歩です。結論を急ぐ前に、踏みとどまってください。ほんの少し努力すれば、子どもは養育費を受け取り、充実した子ども時代を送れるかもしれないのです。

 

養育費の不払い問題は、親同士が話し合わないことから起きています。養育費の支払いから逃げる別居親は論外ですが、養育費の交渉から逃げる同居親も問題です。相手から生命を脅かされているような場合は別ですが、そうでもなければきちんと話し合って決めましょう。

 

DVなどがある場合でも居所秘 匿のまま調停等で話し合うことはできます。「話が通じる相手ではない」「払わないと言われている」などと話し合わないケースも多いようですが、子どものためにしっかり考えてみてください。

 

(注1:「厚生労働省(平成28年度)全国ひとり親世帯等調査結果報告」)

 

養育費の請求は意外に簡単

養育費には、「算定表」と呼ばれる基準があります。インターネット上で「養育費」「算定ツール」と検索すると、自動的に養育費をはじき出してくれる便利なサイトが見つかるはずです。まずはそれを使って試算してみましょう。

 

別居親がどんな反論をしても、裁判所の決定は算定表からぶれません。支払い期間は、子どもが20歳になるまでとするのが一般的です。

 

可能なら話し合いで決めるのがよいですが、直接の話し合いが難しいと思ったら、調停を申し立てるのも手です。3ヵ月から半年程度と、比較的短期間で決着します。たとえば、私立小学校の学費の一部を別居親が負担したり、子どもが大学を卒業する22歳まで支払い期間を延ばしたり、といった取り決めもあり得ます。

 

落ち着いて話し合えるほど、より良い条件を得られる可能性が出てきます。冷静な交渉に備えるためにも、算定表の金額を理解しておくことは大切です。算定表を上回る条件を得られたら、感謝の気持ちを言葉で伝えるようにしてください。それが父母の建設的な関係性につながっていきます。

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子どもの権利条約に基づいた 子どもが幸せになるための、別居・離婚・面会交流のすべて

子どもの権利条約に基づいた 子どもが幸せになるための、別居・離婚・面会交流のすべて

木附 千晶,福田 雅章

自由国民社

子どもがすくすと成長するためには「自分は両親から愛され、望まれて生まれた」という確信が必要。共同養育をする心構えのための1冊。

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