総資産を圧縮するために考えるべきこと
つづいて、総資産について解説したいと思います。
資産とは大きく2つ「流動資産」と「固定資産」です。
「流動資産」には、現預金や売掛金、商品在庫が含まれます。総資産をギュッと圧縮するためには現預金を増やして、売掛金の回転日数を少なくし、在庫をもつ日数をなるべく短くするのが有効です。
業種業界によっては売掛サイトを長くとる商習慣があったり、在庫を長期間抱えざるを得なかったりするかもしれません。それでも出来る限りサイトを短くし、在庫を圧縮することが大切です。
ここで大切なのは現場任せにしないこと。現場に任せておいて「売掛サイトが短縮できた」「在庫が圧縮できた」という話を私は聞いたことがありません。社長が覚悟をもって指針を出す必要があります。売掛金、在庫の管理を見直すことで短期借入金の返済も進みます。
「固定資産」は主に土地や建物です。ここで考えてほしいのは「遊休資産がないか?」ということです。遊休資産とは、本業に貢献していない資産のことを指します。たとえば、誰も使用していない空き地や別荘などの不動産ですね。
私のクライアントのなかに、広い農地を所有している方がいらっしゃいました。そこで「この農地を何かに使えないかな?」と考えた結果、農園の経営を始めました。
このような観点で、遊休資産が利用できるかどうかを考えてみるといいと思います。ポイントになるのは、利用できるか? できないか? という点です。もし利用できなければ、人に貸す。もし人に貸すことができないなら最後は売ることになりますが、できれば利用する・貸すという形で運用していきたいところです。
以上、整理すると
・経営とは資金を調達し資産に変え、売上と利益を上げること
・会社の経営の質はROA(経常利益÷総資産)で表せる
・ROAを上げるためには、経常利益を増やすか、総資産を圧縮する
・経常利益を増やすには、粗利を増やすか、固定費を減らす、営業外収益を増やす
・総資産を圧縮するには、売掛金・在庫を削減し、遊休資産を無くす
となります。
決算書を眺めながら、自社の経営体質を強化するポイントを探ってみてください。
石原 尚幸
株式会社プレジデンツビジョン 代表取締役