人件費高騰…給与を上げる前にやるべき「3つの対策」
人件費が上がっています。2024年初めの予想では3%〜5%程度の上昇と考えられていましたが、蓋を開けてみると上場企業の平均で8%のアップとなりました。
いまや「人件費アップ競争」の様相を呈しています。労働力不足に転職ブームが重なり、給与を上げないと人材を確保できないため、まだまだ上がっていきそうです。
この人件費アップ競争の対応を一歩間違うと、人件費が収支を圧迫する「人件費倒産」もあり得ます。人件費が高騰すると、とにかく給与を上げる策を考えがちですが、その前にやるべきことがあります。そこで、給与アップの前にやるべき3つの対策をお伝えします。
1.DX化に挑戦してみる
例えば、5人のチームで1人辞めると、現場は「すみません、1人採用してください」とすぐに言ってきます。しかし、これを安易に受け入れると、人件費はひたすら上がっていきます。
コロナ禍前であれば人件費もまだ安かったため、人を補充しても何とか回っていました。ですが、これからは違います。闇雲に人員を補充していると、人件費がアップする分だけ収支を圧迫していきます。
では、どうすればよいのでしょうか。そのカギは「DX化」にあります。DXと聞くと「それは大企業の話でしょ? うちは無理無理」と言う中小企業の経営者さんがたくさんいます。ですが、私が言うDXはそんなに難しい話ではありません。
今まで5人でやっていた業務を「4人で頑張ってやってみて」と言えば、当然現場は「そんなことできません!」と怒ってきます。ですが、それは今の仕事を今のままやるという前提の話です。
人が辞めたときこそDX化のチャンスです。例えば、私のクライアントのケースでは、社員が1人辞めてしまい、営業時間が確保できなくなりました。そこで、会議をすべてオンライン化することで移動時間を削減。人員を補充せずに営業時間を確保できるようになりました。これを応用し、お客さんへの訪問もオンライン対応できるところはオンラインで対応にするようにしています。
また、ある職場では、クラウドの管理システムを導入することで、月の業務時間を大幅に削減。やはり人員補充をせずに対応しています。
中小企業では、1人1台のパソコンがない会社もまだあるでしょう。速やかに導入してください。学校や行政がいつまでたっても人不足と嘆いているのは、パソコンすら支給しないからです。
同じ轍を踏んではいけません。今は10万円程度で良いPCはいくらでもあります。また、月額数万円のコストで大幅に労働時間を削減できるシステムもたくさんあります。中小企業でもできるDX化は多いので、ぜひチャレンジしてみてください。