「なりゆき経営」から「逆算経営」へ
売上が伸びない、利益も残らない…。
でも何から手を付けたらよいのかわからない…。こんな悩みを抱える社長さん、結構多いのではないでしょうか? 親族経営の場合、周りに相談できる人が少ないため、こうした悩みを抱えたまま悶々としている社長も多いと思います。
先日もこんなご相談をいただきました。
社長「石原さん、売上が伸びなくて困っているんです…」
石原「そうですか。それは大変ですね。」
社長「そうなんです。こんな時は、チラシを作ったらよいですか? ウェブを見直したらよいですか? それとも営業の強化をした方がいいですかね?」
石原「えっと、では、理想の売上はいくらですか? 社長は売上がどれだけあったら嬉しいですか?」
社長「え? 理想の売上? えっと…あればあっただけ…ですかね。そんなことより何をしたらよいか教えてください」
石原「焦る気持ちは十二分にわかりますが、理想の売上が分からなければ、何をすべきかアドバイスなんてできませんよ」
いかがでしょうか?
社長は、売上を上げるために何をしたらよいかわからない。つまり、迷子だと告白しています。それに対し、迷子の人(社長)が、目的地も言わないまま、目的地に行くための手段を聞いてきています。
皆さんなら何て答えますか?
答えられませんよね。なぜなら、どこへ行きたいかによって最適な手段は変わるから。飛行機に乗ったらよいか? 電車に乗ったらよいか? バスに乗ったらよいか? はたまた歩いていってもよいのか、目的地によって変わってきます。
ですので、石原は「まずは目的地=理想の姿=ビジョンを教えてください」とお答えをしました。
「理想の姿はどのような状態ですか?」と質問をすると、「いや~うちはそんな小難しいこと考えたってややこしいから、とにかく今日のことだけ考えて、あとは出たとこ勝負ですよ!」なんて江戸っ子な答えを返してくれる社長さん、結構います。
石原はこれを「なりゆき経営」と命名しています。
「なりゆき経営」の致命的な問題点
なかには、
「石原さん、あんた理想の姿を描け描けって言うけれど、こちとら明日のことすらわからず困っているんだ。あんたは何かい? 10年後の未来を当てられるの?」
なんて質問をされることもあります。
これに対する石原の答えはシンプルです
「そんなもん分かるかい!」
です(笑)
私は占い師ではなく、中小企業の最前線に立つ経営コンサルタントであり、社長の傍らに立ち、その会社の未来を経営者と一緒に決めていく参謀です。目に見えて数値化できるモノ以外は信じませんし、未来を読むことはあっても、占いなどという不確かなものに会社の命を預けることはありません。それでありながらなぜ、理想の姿を描こうというのか?
それは、あくまで理想と現実との「ギャップ」を知りたいからです。もう少し具体的に言えば、理想と現実との「距離」と「高さ」が知りたいからです
山へ登るときに、山への距離と高さがわからなければ、山に登る準備すらできませんよね。
これと同じで、あとどれだけ走り、どれだけの高さを登れば理想に辿り着くことができるのか? これが分からなければどんな手段をとれば良いのかはわかりません。
目的地=理想の姿=ビジョンを先に定めることで未来の目的地が分かり、その目的地に辿り着くためにギャップを知り、そのギャップを解消しようと思うことで、今何に取り組めばよいのかという対策が初めて見えてきます。
会社の経営も同じです。