「売り上げはあればあるだけいい!」…会社をつぶす社長が勘違いしている本質「つぶれる会社」を見極める、たった1つの質問

国内企業の99.7%を占める中小企業は、毎年4万件以上が倒産に追い込まれています。そんな中小企業に永続性を高める経営をアドバイスをする、経営コンサルタントの石原尚幸氏。なんでも、「なにから手を付ければいいかわからない」社長さんが結構多いと言います。その状態を打開する、「逆算経営」について解説します。

「なりゆき経営」から「逆算経営」へ

売上が伸びない、利益も残らない…。

 

でも何から手を付けたらよいのかわからない…。こんな悩みを抱える社長さん、結構多いのではないでしょうか? 親族経営の場合、周りに相談できる人が少ないため、こうした悩みを抱えたまま悶々としている社長も多いと思います。

 

先日もこんなご相談をいただきました。

 

社長「石原さん、売上が伸びなくて困っているんです…」

石原「そうですか。それは大変ですね。」

社長「そうなんです。こんな時は、チラシを作ったらよいですか? ウェブを見直したらよいですか? それとも営業の強化をした方がいいですかね?」

石原「えっと、では、理想の売上はいくらですか? 社長は売上がどれだけあったら嬉しいですか?」

社長「え? 理想の売上? えっと…あればあっただけ…ですかね。そんなことより何をしたらよいか教えてください」

 

石原「焦る気持ちは十二分にわかりますが、理想の売上が分からなければ、何をすべきかアドバイスなんてできませんよ」

 

いかがでしょうか?

 

社長は、売上を上げるために何をしたらよいかわからない。つまり、迷子だと告白しています。それに対し、迷子の人(社長)が、目的地も言わないまま、目的地に行くための手段を聞いてきています。

 

皆さんなら何て答えますか?

 

答えられませんよね。なぜなら、どこへ行きたいかによって最適な手段は変わるから。飛行機に乗ったらよいか? 電車に乗ったらよいか? バスに乗ったらよいか? はたまた歩いていってもよいのか、目的地によって変わってきます。

 

ですので、石原は「まずは目的地=理想の姿=ビジョンを教えてください」とお答えをしました。

 

「理想の姿はどのような状態ですか?」と質問をすると、「いや~うちはそんな小難しいこと考えたってややこしいから、とにかく今日のことだけ考えて、あとは出たとこ勝負ですよ!」なんて江戸っ子な答えを返してくれる社長さん、結構います。

 

石原はこれを「なりゆき経営」と命名しています。

「なりゆき経営」の致命的な問題点

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)

 

なかには、

「石原さん、あんた理想の姿を描け描けって言うけれど、こちとら明日のことすらわからず困っているんだ。あんたは何かい? 10年後の未来を当てられるの?」

なんて質問をされることもあります。

 

これに対する石原の答えはシンプルです

「そんなもん分かるかい!」

です(笑)

 

私は占い師ではなく、中小企業の最前線に立つ経営コンサルタントであり、社長の傍らに立ち、その会社の未来を経営者と一緒に決めていく参謀です。目に見えて数値化できるモノ以外は信じませんし、未来を読むことはあっても、占いなどという不確かなものに会社の命を預けることはありません。それでありながらなぜ、理想の姿を描こうというのか?

 

それは、あくまで理想と現実との「ギャップ」を知りたいからです。もう少し具体的に言えば、理想と現実との「距離」と「高さ」が知りたいからです

 

山へ登るときに、山への距離と高さがわからなければ、山に登る準備すらできませんよね。

 

これと同じで、あとどれだけ走り、どれだけの高さを登れば理想に辿り着くことができるのか? これが分からなければどんな手段をとれば良いのかはわかりません。

 

目的地=理想の姿=ビジョンを先に定めることで未来の目的地が分かり、その目的地に辿り着くためにギャップを知り、そのギャップを解消しようと思うことで、今何に取り組めばよいのかという対策が初めて見えてきます。

 

会社の経営も同じです。

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    株式会社プレジデンツビジョン 代表取締役 

    1973年、愛知県名古屋市生まれ。
    コーヒー卸商「石原珈琲商会」の三男として育つ。幼少の頃から父の配達についていき、「明日の売上がなかったら、お前の目の前のごはんは食べられないんだぞ」と言葉をかけられていたのが、商売の原点。上智大学経済学部経営学科卒業後、大手石油元売に入社。日本一ガソリン代が安い激戦区に担当営業として赴任。赤字となってしまった大手特約店にて、2年間で3億円のV字回復を実現したことが評価され、31歳で社長賞を受賞。34歳で独立起業後は、現場で培った経営ノウハウにファイナンシャルプランナー資格(1級FP技能士)、MBA修得で得た知見も併せ、成果にコミットするV字回復メソッドを体系化。「売上に偶然はあるが、利益に偶然はない」という理念のもと、社外にいるものの、社長の傍らに寄り添う「社外参謀」としてクライアントのビジョン実現へ邁進している。直近では「父が子に伝える13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方」を上梓し、お金と賢く付き合うやり方と考え方をわかりやすく伝える活動も行っている。

    【公式サイト】
    株式会社プレジデンツビジョン:https://presidents-vision.com/
    ジャパンコンサルティングファーム株式会社:http://www.japan-cf.com/

    【資格等】
    ・1級FP技能士
    ・ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA(経営管理修士・専門職)

    【主催する団体】
    ・ジャパンコンサルティングファーム(株) 代表取締役会長
    ・五つ星★メンバーシップ 主宰

    【著書】
    『社長!お金は「ここだけ」押さえれば会社は潰れない〜2枚のシートで利益とキャッシュを確実に残す!(ダイヤモンド社)』
    『父が子に伝える13歳からのお金に一生困らないたった3つの考え方(三笠書房)』

    著者紹介

    連載日本の中小企業を元気に! 熟練のコンサルタントが経営のツボをアドバイス

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