誹謗中傷に対してとりうる法的措置
誹謗中傷に対してとりうる法的措置は、侮辱罪で告訴をすることだけではありません。では、誹謗中傷に対する法的措置には、どのようなものがあるのでしょうか? 主なものは、次のとおりです。
刑事告訴する
1つ目は、相手を刑事告訴することです。刑事告訴とは、犯罪行為を警察などに申告して、相手の処罰を求める意思表示のことです。侮辱罪や名誉毀損罪は親告罪であるため、刑事告訴しなければ相手を罪に問うことはできません。
誹謗中傷が該当する可能性のある罪には、次のものなどが存在します。
■侮辱罪
先ほど解説したように、誹謗中傷は侮辱罪に該当する可能性があります。
損害賠償請求をする
侮辱行為に対して検討できるもう1つの法的措置は、相手に対して損害賠償請求をすることです。損害賠償請求とは、相手の不法行為などが原因でこうむった損害を、金銭で賠償させる請求を指します。刑事責任とは異なる民事上の責任であるため、仮に損害賠償請求が認められても相手に前科がつくわけではありません。
なお、刑法上の侮辱罪には該当しない誹謗中傷事例であっても、損害賠償請求は認められる場合があります。
侮辱罪で相手を罪に問うためのポイント
侮辱にあたる可能性のある言葉を投げかけられ、相手を罪に問いたい場合には、どのような点に注意すればよいのでしょうか?侮辱罪で相手を罪に問う場合の主なポイントは次のとおりです。
証拠を保全する
侮辱罪で相手を罪に問うためには、侮辱されたことの証拠が残っていなければなりません。そのため、侮辱行為を受けたら、まず証拠を保全することをおすすめします。
インターネット上での侮辱であれば、まず侮辱された投稿のスクリーンショットを撮影することです。スクリーンショットは投稿内容の全文のほか、相手のアカウント名、投稿のURL、投稿された日時が掲載されるように撮影しましょう。また、SNSの場合には相手のプロフィールページのスクリーンショットも撮影しておくとよいでしょう。
できるだけ早期に取り掛かる
侮辱行為に対して法的措置をとりたい場合には、できるだけ早期に取り掛かることをおすすめします。
なぜなら、時間が経過すると、SNSやプロバイダでのログが消されてしまう可能性が高くなるためです。ログの保存期間は企業によって異なりますが、一般的には3ヵ月から6ヵ月程度であることが多いでしょう。
相手を侮辱罪に問いたい場合や相手に対して損害賠償請求をしたい場合には、これらの前段階としてSNS運営企業やプロバイダなどに対して発信者情報開示請求を行い、相手が誰であるのか特定しなければなりません。
しかし、すでにログが消えていれば発信者情報開示請求をしたところで相手を特定することができず、損害賠償請求や刑事告訴を断念せざるを得ない事態となってしまいます。
そのため、相手への法的措置を検討している場合には、できるだけ早期に取り掛かることをおすすめします。
弁護士へ相談する
侮辱に対して、自分で法的措置をとることは容易ではありません。なぜなら、非常に専門的な知識が必要となるうえ、ログの保存期間が短いことからスムーズに手続きを進めていく必要があるためです。また、自分で相手に交渉しようと不用意な行為をすれば、不利な状況となってしまう可能性もあるでしょう。
そのため、侮辱罪で相手を罪に問いたい場合などには、誹謗中傷問題にくわしい弁護士へご相談ください。
まとめ
ある行為が侮辱罪にあたるかどうかは、発せられた言葉のみで画一的に判断されるわけではないことを知っておきましょう。
また、侮辱罪で相手を罪に問いたい場合や相手に対して損害賠償請求をしたい場合に、自分で対応することは容易ではありません。そのため、侮辱行為を受けた場合にはできるだけ早期に弁護士へご相談ください。
※参照元:法制審議会刑事法(侮辱罪の法定刑関係)部会 第1回会議配布資料:侮辱罪の事例集
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