(※写真はイメージです/PIXTA)

軽い気持ちで、相続税・贈与税を回避するためにタンス預金をしておこうかな……と考えたことはありませんか? 現金だから足はつかないと思っていませんか? 税務署はそんなに甘くはありません。本記事では、富裕層・IPO税務を専門とする黒田悠介税理士(税理士法人Bridge 代表)が、「タンス預金がバレた場合の末路」を解説します。

なぜタンス預金の存在がバレていたのか?

税務調査官が調査に入る際には、前もって入念な下調べをしてからやってきます。特に相続税の調査の場合、現金・預金の漏れについてはしっかりと確認されているのです。

 

実は今回のケースでは、3,000万円の現金の出どころは20年にわたる母口座からの小さな出金の積み重ねでした。税務署は事前に母の口座の預金履歴を過去にさかのぼって調べていました。そのなか

調査官は初めから母のタンス預金の存在をうすうす気づいており、疑っていたのです。

 

なめてはいけない税務署

税務署ではタンス預金があるのではないか?と常に目を光らせています。税務署は、調査のプロです。国税総合管理(KSK)システムを活用し、過去の口座履歴から、相続した後の関係者の口座から、実地調査からとありとあらゆる方法でタンス預金を発見してきたノウハウが蓄積されています。

 

安易に「バレないだろう」とタンス預金を申告対象から外すことはしてはいけません。また、いうまでもありませんが、これは「節税」ではなく「脱税」です。

バレた場合のペナルティ

タンス預金がバレた場合、追徴課税が発生し、加算税・延滞税などのペナルティが課されます。なお重加算税は、追加で納める相続税額に対して35%の税率でかかります。

 

なお、過去5年以内に同じく重加算税を課されたことがあった場合には、税率はさらに10%上乗せされ45%にもなります。また悪質な脱税と判断された場合には刑事罰となり、1,000万円以下の罰金刑や10年以下の懲役刑を科せられてしまうこともあります。くれぐれも申告対象に含めるようにしましょう。

タンス預金のデメリット

バレるばれないにかかわらず、タンス預金は相続財産なので相続税申告に含めなければなりませんが、そもそも現金を保管することはほかのリスクも持っています。

 

窃盗や災害のリスク

自宅に現金を保管することで、窃盗や火災等などで紛失するリスクがあります。また窃盗にあわなくても、そもそも相続人に伝えていなければそのまま発見されず紛失されるというリスクもあります。

 

相続人間のトラブルにもつながる

タンス預金は家族に対して、その金額や誰に残したいかを伝えずに保管されている場合が多いです。死後にタンス預金の存在が明らかになった場合、第一発見者がもっていってしまうなど家族間のトラブルにつながる可能性があります。

まとめ

相続税を回避するためのタンス預金は絶対にしてはいけません。繰り返しになりますが、それは節税ではなく、脱税です。

 

申告していないタンス預金がありドキッとした読者は、修正申告などでペナルティの軽減ができますので、税理士等の専門家に一度相談することもおすすめです。

 

 

黒田 悠介

税理士法人Bridge 

代表 税理士・政治資金監査人

 

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