(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書は、相続を円滑に進めるための重要なツールです。遺言書があることで、法定相続分よりも被相続人の意思が優先され、財産分割におけるトラブルを未然に防ぐことができます。特に、法定相続人以外に財産を渡したい場合や具体的な希望を明確に伝えたい場合には、その重要性が一層際立ちます。本記事では、弁護士の中澤泉氏が、相続の不安を解消し、家族が安心して相続を迎えるために知っておきたい遺言書の役割や種類、作成時の注意点等について解説します。

遺言書の重要性と“役割”

遺言書があると、記載内容が法定相続分より優先され、被相続人の意志に基づいて遺産分割が進むため、相続トラブルの回避に役立ちます。特に、法定相続人以外の人へ財産を譲りたい場合や、具体的な希望を反映させたい場合には、遺言書の作成が重要です。

遺言書の種類は3つ

遺言書には大きく分けて「普通方式遺言」と「特別方式遺言」という2つの形式があります。日常的に利用されるのは「普通方式遺言」で、これには「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者がすべて手書きで作成する遺言書で、特別な準備が不要な手軽さが特徴です。財産目録部分はパソコンで作成することも可能で、添付資料として登記事項証明書や銀行通帳のコピーを利用できます。

自筆証書遺言のメリット

・手軽に作成できる

 

自筆証書遺言は、専門家に依頼する必要がなく、自宅で気軽に作成できます。

 

・費用がかからない

 

公正証書遺言などとは異なり、自筆証書遺言は費用がかからない点が大きなメリットです。

自筆証書遺言のデメリット

・無効になる可能性がある

 

手書きで作成する際、形式や内容に不備があるなど法律の要件を満たしていないと遺言書が無効になることがあります。

 

・相続争いの原因になりやすい

 

自筆証書遺言は、書き方や内容の曖昧さが原因で、相続人同士のトラブルや争いの火種になりやすいといわれています。具体的で明確な内容を記載しなければ、解釈をめぐって相続人の間で対立が生まれる可能性があります。

 

・紛失するリスクがある

 

遺言書を自分で保管する場合、誤って紛失してしまう危険性があります。

 

・発見されない可能性がある

 

自筆証書遺言は家族や関係者がすぐに見つけられないこともあります。

 

・隠蔽・破棄・改ざんされるリスクがある

 

自筆証書遺言は、特定の人によって隠されたり、破棄されたり、内容を変造されるリスクもあります。特に、相続に関わる利害関係者が遺言書を発見した場合には危険が高まります。

 

・法務局に預けない場合、検認が必要

 

自筆証書遺言を法務局に預けなかった場合、遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で「検認」手続きを行う必要があります。この手続きには時間と手間がかかるため、後述する「法務局保管制度」の利用をお勧めします。

 

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