今回は、銀行が融資判断の際に「PL」よりも「BS」を重視する理由を説明します。 ※本連載は、株式会社ビーワンフードの代表取締役で、公認会計士・税理士の廣瀬好伸氏の著書、『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、飲食店経営に欠かせない「銀行からの資金調達」について解説します。

決算時の資産や負債は「ゴール時のランナーの体調」!?

経営をマラソンに例えながらPLとBSの説明をしてみましょう。会社の決算は年に一度。これが経営というマラソンの1年間のゴールです。そして、PLは完走したタイム、BSは完走したときの体のコンディションに置き換えることができます。

 

たとえば、42.195kmのコースを通常は4時間で走るランナーが3時間で完走したとします。この3時間というタイムがPLの数字で、どれだけ儲かったかです。予想よりもよいタイム(利益)が出たのですから、経営者としてもがんばった甲斐がありましたよね。

 

しかし一方で、ゴールしたときのランナーの状態はどうでしょう。普段のタイムをはるかに上回る時間で走ったのですから、ありったけの力を振り絞ったに違いありません。完走してヘトヘト。それだけならまだしも、限界を超えて無理しすぎれば、体はボロボロになりケガをして歩けなくなるかもしれません。このゴール時点のランナーの体の状態を会社に置き換えると、決算時の資産や負債の状況を示したもの=BSになります。

ゴールしても「ゆっくり休めない」のが会社経営

本当のマラソンであれば、倒れ込んでゴールしても後はゆっくり休めます。でも、経営というマラソンはそうはいきません。決算日をすぎたとたん、新しい年度がはじまるのです。つまり、ゴールした直後が次のマラソンのスタートなわけです。そのスタート時点の体の状態がボロボロなら、次の42.195㎞はどうなってしまうのでしょう?

 

たとえば無理して利益を出してPLをよく見せたとしても、そのしわ寄せがBSのほうにきてしまいます。今年度のPLがどれほどよくても、BSが不安定なまま次年度に進めば、なにかアクシデントがあったときに乗り越えられないかもしれません。

 

つまり、会社としての「安全性」が揺らぐということです。銀行の格付けでBSに関連する項目が多く見られるのも、こうした会社のコンディションを見ているのです。

 

【図表 経営のマラソンでは、ゴールの翌日が次のスタート!】

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    本連載は、2015年11月20日刊行の書籍『1店舗から多店舗展開 飲食店経営成功バイブル』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    廣瀬 好伸

    合同フォレスト

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