業界の動向や経営者の将来性を格付け結果に加味
銀行の格付けについて決算書以外のお話をしておきましょう。
銀行の格付けは基本的には決算書がベースですが、評価項目の中には数字で表しにくいものもあります。たとえば、業界の動向や、その会社や経営者の将来性などは、数字ではなかなか表せません。こうした項目で評価することを「定性評価」といい、この評価を格付け結果に加味してくれる銀行もあります。
では、「定性評価」はどのようにして決まるのでしょう。ひと言でいえば、それは銀行担当者の抱く「イメージ」です。もしもあなたが銀行の担当者だとして、相談に訪れた経営者から「お金の話は苦手なんです。経理に任せているから」と言われるのと、「5年以内にあと3店舗増やしたいと思っています。こちらの事業計画で説明しますと……」と言われるのでは、どちらに将来性を感じますか?
会社の経営状況や未来のプランで会話が弾むと、「この人は管理能力がありそうだ。この会社なら期待できるかも」とプラス評価をしてくれる可能性は大いにあると思います。
銀行担当者との会話の中で判断されている可能性も
銀行の決算書による格付けでは見えてこない、形のないものを評価する、それが「定性評価」です。この評価には、決算書による信用力を補完する役割があります。
特に中小企業は、景気変動による影響を受けやすく、経営者の資質等によって、今後の経営実態が大きく左右される可能性が高いと考えられています。そのため、大企業に比べて「定性評価」の重要性も高いといえます。
下の表のように、定性評価の要因は多岐にわたります。銀行担当者との何気ない面談・会話の中で判定されている可能性も大いにありますので、会話の内容などにも気をつけるようにしましょう。