「4年落ち以降」の中古車なら、初年度に全額を経費にできる
――では、この減価償却ですが、中古車の場合どうなるのでしょうか。
黒「中古車の場合、新車を買った場合に比べて耐用年数が短くなります。耐用年数が短くなると、その分早く経費に計上できるようになるのです。なかでも、4年落ち以降の中古車であれば、初年度に全額を経費にすることも可能です」
――すごい! 新車のときは約3割しか経費にできないのに、4年落ちだと初年度全額いけちゃうんですね。それってどういう仕組みなんですか?
黒「自動車などの固定資産を中古で購入し、事業のために使った場合、さきほどの「法定耐用年数」ではなく、使用可能期間として見積もられる年数を耐用年数とすることができます。これを『見積法』といいます。
しかし実際、私たちが“そのモノがいつまで使えるか”を見極めるのは難しく、見積法はあまり現実的とはいえません。そこで、『簡便法』での計算が認められています」
――簡便法での計算って、どのように行うのですか?
黒「簡便法による耐用年数の計算は、以下のようになります。
【耐用年数の計算※<簡便法>】
・法定耐用年数の全部を経過した場合
法定耐用年数×0.2
・法定耐用年数を経過していない場合
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
※ 1年未満の端数切り捨て
※ 2年未満は2年とする
では、上記の式で「4年落ち中古車」の耐用年数を計算してみましょう。普通自動車の法定耐用年数は6年、経過年数は4年ですから、それぞれ当てはめると
(6年-4年)+4年×20% =2.8年
となります。ただし、端数切り捨てのため、耐用年数は「2年」となります。ちなみに、より正確にいうと3年10ヵ月落ちの車から耐用年数2年です。
[前掲図表1]をみると、耐用年数が2年のとき、200%定率法の償却率は1.000、つまり100%のため、『初年度に全額経費にできてしまう』というわけです。これが、4年落ちの中古車が初年度に全額経費にできる仕組みです」
――なるほど。だから4年落ちの中古車が節税におすすめなんですね。
ただし「大幅な改良」には要注意
黒「はい。ただし、この耐用年数の計算には1つ注意点があります。
事業用に中古資産(今回の場合、中古車)に使った「資本的支出」の金額が、「再取得価額(同じものを新品で買った場合の取得価額)」の50%を超える場合には、簡便法・見積法を使うことはできません。この場合、法定耐用年数を使う必要がありますので、ご注意ください」
――この「資本的支出」ってなんですか。
黒「『資本的支出』とは、資産に新たな価値を加えたり、使用可能期間が延長されるような価値を高める支出のことをいいます。
国税庁のHPをみると、具体的には
・用途変更のための模様替え
・機械部品の取り換え
などにかかる費用が資本的支出にあたります。
中古車で考えてみると、たとえば、新車価格(=再取得価額)500万円の車を50万円で手に入れ、300万円をかけてエンジンを乗せ換えるなどオーバーホール(改良)したとします。この場合、再取得価額の50%である250万円を超えており、『新品を買ったも同然』とみなされるため、法定耐用年数の6年で償却することになります」
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