(※写真はイメージです/PIXTA)

生活している以上、どうしても避けられない出費のひとつに「住まいに関する出費」がありますが、どうせ支払うなら少しでも節税につなげたいと考えている人は少なくありません。そこで、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏が、会社の節税+社長の“実質的な手取り増加”を実現する「役員社宅制度」について解説します。

会社も役員も“Win-Win”…「役員社宅」の魅力

――まず、役員社宅制度とはどういうモノで、どのような手順で行うんでしょうか?

 

黒瀧氏(以下、黒)「『役員社宅』とはその名のとおり、役員が利用する社宅制度のことです。

 

手順としては、

 

1.役員の住む物件を会社名義で借りて、会社が大家さんに家賃を支払う
2.その物件を「社宅」として役員に貸す
3.役員からは会社が設定した「家賃相当額」を受け取る

 

という流れです。

 

これにより、会社が支払う家賃と、役員から徴収する「家賃相当額」の差額を、会社の経費(損金)とすることができます。社宅制度を導入すれば社長を含めた役員の家賃負担を抑えることができるため、福利厚生としても魅力があります。導入している会社をみると『さすが、わかっているな』と感心します」

 

役員社宅制度利用時の「注意点」

黒「役員社宅制度にはいくつかのポイントがあります。

 

まず押さえておきたいのは、賃貸契約は法人名義で行い、支払いも法人が直接行うという点です。

 

役員個人の名義で契約してしまうと、会社側の家賃負担分は『住宅手当』扱いとなり、課税されてしまいます。また、支払いを個人で行うと、経費計上自体が否認される恐れがあります」

 

――なるほど。契約・支払いを個人でやってしまうと、この制度のメリットがなくなってしまうんですね。

 

黒「はい。そしてもう1つのポイントは、必ず役員本人が家賃の一部を自己負担するという点です。

 

国税庁によれば、役員に社宅を貸す場合、役員から一定額の家賃を受け取っていれば、給与として課税されないことになっています。

 

役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1ヵ月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。
※ 国税庁タックスアンサーNo.2600「役員に社宅などを貸したとき」より

 

しかし、その一定額以上、あるいは家賃全額を会社が負担してしまうと、給与とみなされ課税されてしまいます」

 

――しっかり制度を理解して運用しないと、効果が出ないということですね。

 

黒「そうなんです。まとめますと、役員社宅として認められる要件として、

 

1.賃貸契約は法人名義
2.大家への家賃の支払いも法人が直接行う
3.役員本人が家賃の一部を自己負担する

 

という3点は押さえておいてください」

 

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次ページ役員社宅の「3つのメリット」とは?

※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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