(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナショックをきっかけに一気に普及したテレワークで、企業による従業員の就業時間管理は難しくなっています。その結果、企業は従業員の「成果」のみを判断基準として人事評価を下さざるを得なくなり、生産性の低い従業員は苦境に立たされることになるでしょう。本稿では、平康慶浩氏の著書『給与クライシス』(日経BP日本経済新聞出版本部)から一部を抜粋し、日本にも確実にやってくるという「目に見える成果」だけが評価される社会について解説します。

かいた汗は評価されるべきか

 

仮に、あるメンバーシップ型の会社でAの人事制度からBの人事制度への転換があったとしよう。会社には、もちろん優秀な従業員と普通の従業員が働いている。

 

優秀な従業員は、時間内に仕事をこなし、月10件の成約をしている。

 

普通の従業員は、毎月10時間の残業をし、月4件の成約をしている。

 

この会社でAタイプの人事制度が施行されていた時代、優秀な従業員は月給30万円。普通の従業員は月給30万円+約2.4万円(残業代)=約32.4万円となり、優秀な従業員の方が普通の従業員よりも給与が少なかった。

 

そこで会社が人事制度を変えてBタイプにすると、優秀な従業員は25万円+12万円(超過6件分の成約手当)=37万円、普通の従業員は25万円+約2万円(残業代)=27万円となる。

 

優秀な従業員の割合が少なければ、会社の人件費は増えない。また普通の従業員が成約数を増やしてくれればそれはそれで会社は儲かるので、人件費の率としては大きく変化することはないだろう。

 

なるほど、だとするとAはやはり間違っているし、Bの方が正しい、と思う人が多い、と思えるはずだ。けれども人間の心理はそうは動かない。実際、メンバーシップ型の典型的な会社では、Aの制度のままで、別の対応を取っていた。優秀な従業員を早く出世させ、より高い肩書と給与で処遇していったのだ。

 

なぜそうせざるを得なかったかといえば、普通の従業員の方が長い時間まじめに働いていることを、みんな見ていたからだ。同じ時間、同じ場所にいるからこそ、長時間働いていることが美徳に見える。短時間で成果を出している人を、うさんくさく思う風潮すらあった。

 

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給与クライシス

給与クライシス

平康 慶浩

日経BP日本経済新聞出版本部

同じ仕事をしている限り、給与は「ずっとそのまま」の時代!? これからやってくる”ジョブ型”時代を僕たちはどう生きるか―― ”そうはいっても、日本はまだまだ年功序列でしょ? ” ”なんだかんだ言って終身雇用は続く…

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