「メンバーシップ型雇用」→「ジョブ型雇用」への移行でサラリーマンの給与はどう変わるのか?

「メンバーシップ型雇用」→「ジョブ型雇用」への移行でサラリーマンの給与はどう変わるのか?
(※写真はイメージです/PIXTA)

終身雇用を前提に職務のない雇用契約を結ぶ「メンバーシップ型雇用」から、契約で定められた職務とその成果に対して給与を支払う「ジョブ型雇用」へとシフトした場合、従業員の給与はどのような仕組みで決まることになるのでしょうか。本稿では、平康慶浩氏の著書『給与クライシス』(日経BP日本経済新聞出版本部)から一部を抜粋し、これからの働き方や給与決定の仕組みを理解するためのポイントを整理します。

メンバーシップ型はジョブ型にそのまま移行しない?

 

働き方が変わるとともに、雇用のされ方が変わるという議論がある。ただこれは短絡的にすぎる議論だし、本質的でもない。

 

日本の特殊な働き方を「メンバーシップ型」とした際の特徴は、「職務のない雇用契約」にあった。

 

雇用するのに職務が定まっていないという特殊性をもって、「雇用契約でその内容を明確に定めて、その範囲内の労働についてのみ労働者は義務を負うし、使用者は権利を持つというのが、世界的に通常の考え方」である職務(ジョブ)型に対するアンチテーゼとして示したものだ。

 

日本におけるメンバーシップ型といわれる雇用は、男性中心、年功主義によって形成されてきた。

 

メンバーとは男性であり、彼らが家を支配する権力を持つために年功で処遇する。メンバーとしての権利を守るとともに忠誠心を確認しなければいけないので、会社都合の異動や転勤も行っていく。そして面倒な仕事は若手の下積みとして払い下げ、年長者は管理監督を行うなどの名目で上がりの人生を送るようになっていた。

 

また、そのためには女性はメンバーに含められないし、メンバーを支える存在でなくてはならない。さらに女性は専業主婦にならなくてはいけないという理屈づけとして、3歳児神話が語られてもきた。

 

実際問題、核家族化が進む中で子育てを担当する家族がいなくなり、どうしても誰かがみなければいけない、となった際に女性にその役割を押し付けられた側面もある。

 

男は外で稼ぎ、女が家を守る、という構図だ。

 

しかし1990年代以降の変化は、男性中心の年功主義を否定してきている。転職が常態化し、女性就労率が上昇しているのは紛れもない事実だ。

 

つまりメンバーシップ型はすでに否定されつつあった。そこに、コロナショックによる脱メンバーシップのきっかけが与えられたと考えるべきだろう。

 

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給与クライシス

給与クライシス

平康 慶浩

日経BP日本経済新聞出版本部

同じ仕事をしている限り、給与は「ずっとそのまま」の時代!? これからやってくる”ジョブ型”時代を僕たちはどう生きるか―― ”そうはいっても、日本はまだまだ年功序列でしょ? ” ”なんだかんだ言って終身雇用は続く…

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