ジョブ型志向がもたらす退職金のない未来
いわゆる職務(ジョブ)型を志向していくと、世界標準では退職金がない、という事実を知る経営者も増えてゆく。日本の退職金制度は、メンバーシップ型を構成する年功処遇の中に位置づけられるもので、戦後の労働争議の中、給与の後払い的性質から始まった。
1970年代には導入率90%を超えた退職金だが、バブル崩壊後位置づけを多様化させてゆく。
現状では退職金はあるものの、その水準が企業によってばらばらになっている。大手企業であれば、そもそもの退職金発祥時の「生涯を電気産業に捧げたる如き従業員に対しては定年退職後約10年間の生活保障をなす」という暫定協定をもとにおよそ退職時月給の60か月分相当を支給することが多いが、中小企業では1000万円に満たないことも多い。
一方、企業側の雇用義務が65歳まで延び、その後70歳までの就業機会確保が努力義務化してはいるものの、それ以降は自助努力が必要になる。70歳前半の健康年齢からその後の平均寿命まで10年以上の生活を保つために、年金以外に2000万円が必要だという数字が独り歩きしたが、確実に訪れる未来でもあると思う。
意識としては、会社や政府に頼らない方法を考えていかなくてはならない。それもまた脱メンバーシップ型社会なのだ。
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