法人口座を作るなら…メガバンクよりお得な「2種類の銀行」
「法人口座」、そもそも絶対に必要?
――法人口座とは、「口座名義が法人である口座」のことですが、これって、法人を立ち上げたら必ず作らないといけないものでしょうか。
黒瀧氏(以下、黒)「個人口座のままではダメ、というわけではありませんが、個人口座の場合、法人との取引や融資などの場面で損をしてしまう可能性があります。法人口座を作ることで公私のお金の流れが明確に分けられ、
・信用力が増す
・融資で有利になる
などのメリットがあると考えられます。個人とは借り入れできる金額が異なりますし、補助金の申請などでも有利です」
――では早速ですが、法人を立ち上げた場合、どこの銀行で法人口座を作ればいいのでしょうか?
黒「結論からいうと、
・地域密着型の金融機関
の最低2種類の口座を持つことがおすすめです」
手数料が安い、開設が手軽…「ネット銀行」開設のメリット
黒「まず、創業期の会社がビジネス用に銀行口座を開設する場合、『ネット銀行の法人口座』を1つ持っておくことをおすすめします。代表的なネット銀行としては、
・楽天銀行
・住信SBIネット銀行
などが挙げられます」
――どうしてネット銀行がおすすめなのですか?
黒「ネット銀行は物理的な店舗が不要なため、人件費等のコストを削減できます。これにより、
・口座開設が手軽で早い
・24時間365日ログインできる
などのメリットがあるのです」
――なるほど。振込手数料は、メガバンクなどに比べてどれくらい安いのでしょうか。
黒「たとえばメガバンクの三菱UFJ銀行ですと、法人の場合、他行あてに3万円以上の振り込みをすると660円の手数料がかかります。さらに、月額1,760円の基本利用料もかかります。
他方、「住信SBIネット銀行」の場合、月額利用料は無料、他行あての振込手数料は145円(税込)です。そのため、もし3万円以上の振り込みを月に30回行う場合、ネット銀行を使えば、月1万7,000円ほど、年間だと20万円以上コストを削減できます」
――そうなんですね! できるだけコストをかけたくない創業期に、この差は大きいですね。
黒「また、ネット銀行の場合、口座開設手続きはオンラインで完了できます。たとえばGMOあおぞらネット銀行ですと、印鑑・固定電話不要で、最短即日で口座開設が可能です」
――創業期って忙しくて時間が足りないですから、これもありがたいですね。
黒「さらに開設後は24時間いつでも操作でき、振込のためにATMに並ぶ必要もありません。スマホから給与振込などができるため、大幅に手間が省けます」
――なるほど。ネット銀行を活用することで、お金と時間のコストを下げることができそうですね。
黒「売り上げの入金や引き落とし、振込といった最低限必要なサービスがコストをかけずに完結できることから、ネット銀行をおすすめしています。新設法人向けに、『他行宛て振込手数料が無料』といったキャンペーンなども行われているので、HPでチェックしてみてください」
融資に不利…ネット銀行には注意点も
――ここまでいいところばかり聞いてきましたが、ネット銀行のデメリットや注意点はありますか?
黒「コストの安さ・利便性では有利なネット銀行ですが、『銀行融資がほぼ不可能』という点が最大のデメリットといえます。融資制度がまったくないわけではないのですが、金利が高いです。たとえば、住信SBIネット銀行の融資サービスは、金利が年5〜7%程度になることが多いようです」
――通常の銀行融資に比べると、かなり高金利ですね。
黒「はい。また、基本的にネットバンクは、社会保険料の口座引き落としに対応していません」
――なるほど。じゃあ、窓口に行って払うしかないってことですか?
黒「これに関しては、『Pay-easy(ペイジー)』というシステムを使ってオンラインで納付できます。現状Pay-easy(ペイジー)に対応しているネット銀行は、PayPay銀行・楽天銀行・GMOあおぞら銀行の3つです。
その他、物理的な店舗がないために窓口対応してもらえないことや、紙の通帳がないこと等を不便に感じる方も一定数いらっしゃるようです」
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