(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年6月22日、東京都世田谷区が、2023年度に「ふるさと納税」により97億円の税収が他の自治体に「流出」したことを公表しました。他にも同様の問題を抱える自治体が数多くあります。また、ふるさと納税については、自治体が負担する経費率が2021年度の経費総額が寄付額の46.4%にのぼることがわかっています(総務省発表)。これらは結果的に「増税」につながる可能性もあります。本記事で解説します。

結局は「増税」で賄うことになる?

さらに、ふるさと納税の制度で得をしたつもりが、かえって、最終的に「増税」による税負担の増大につながる可能性も指摘されています。

 

どういうことかというと、ふるさと納税を利用する人は、返礼品を受け取ることにより、「返礼品の市場価格-2,000円」の分だけ得をします。

 

しかし、逆にいえば、その反面、全国の地方自治体のトータルでの税収はマイナスになります。

 

すなわち、ふるさと納税のためにかかる自治体側の主な経費としては、以下が挙げられます。

 

【ふるさと納税にかかる主な経費】

・返礼品の調達価格

・送料

・「さとふる」や「楽天ふるさと納税」といった仲介サイトへの手数料

・その他の事務にかかる費用

 

総務省の発表によれば、2021年時点で経費率は全国平均46.4%になっています。

 

総務省は、経費率が50%を超える自治体に対し、改善を要求しています。しかし、どの程度改善されるかは、現段階では未知数です。

 

もし、税収が足りず行政サービスに支障が生じることになった場合、「地方交付税交付団体」であれば、不足分を「地方交付税交付金」により補てんしてもらうことが考えられます。

 

この「地方交付税交付金」の財源は国の税金なので、結局は「増税」によって賄われることになる可能性が高いのです。

 

なお、冒頭に紹介した東京都世田谷区は地方交付税交付金の「不交付団体」なので、その分を補てんしてもらうことはできません。しかし、もしも税収不足が深刻化した場合、何らかの形で手当てが行うことになれば、それも結局は税金で賄われざるをえません。

「地方の活性化」等のメリットは考えられるが…

もちろん、ふるさと納税には、税収の不均衡を是正し、地方の活性化を促すなどの理念があります。国の政策として、それらの課題への取り組みが重要であることはいうまでもありません。

 

また、ふるさと納税により自治体の知名度が向上したり、地元の名産品の生産者や製造業者が潤ったりする面があることも確かです。

 

しかし、その反面、制度を利用する人が著しく拡大していることに伴い、上述したように、特に都市部の自治体で巨額の税収が流出して行政サービスの財源が脅かされる危惧が生じていることや、あるいは、経費率が半分近くになっていることなどの問題点も顕在化してきています。いずれも、もし、不足分を増税で賄うことになれば、結局は、国民の負担が増大することにつながります。

 

これらは、当初、想定されていなかったものかもしれません。しかし、どのような制度でも、実際に運用されていくうちに、課題や改善すべき点が生じていくことは避けられません。

 

ふるさと納税の制度設計について、上記の点を踏まえ、可能な限り改善していくことが求められています。

 

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