農地の相続税猶予制度を利用する際の手続き先と方法
相続税猶予制度を利用するには、農業委員会、市区町村役場、税務署にそれぞれ申告をしなければいけません。
手続きの流れ
次のような手順で進めていきます。
1.農業委員会へ相続税の納税猶予に関する適格者証明願等を提出
2.農業委員会が書類の他、農地をチェック
3.問題なければ農業委員会は適格者証明書を発行
4.市区町村役場で納税猶予の特例農地の農地等該当証明書を取得
5.税務署へ相続税申告書・必要書類を提出
6.相続税の申告期限から3年目ごとに納税猶予適用継続届出書を提出
農業委員会への申請から適格者証明書の発行までは、1ヵ月以上かかる場合があります。
必要書類と提出期限
申請に必要な書類は農業委員会、市区町村役場、税務署それぞれ異なります。
(1)農業委員会事務局へ提出
適格者証明願・明細書は農業委員会事務局窓口等で取得できます。
・相続税の納税猶予に関する適格者証明願(2部作成)
・特例適用農地等の明細書(2部作成)
・被相続人・相続人の戸籍謄本等の写し:戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得
・相続関係説明図の写し:作成していれば提出
・土地評価証明書または公課証明書の写し:市区町村役場で取得
・遺産分割協議書の写し:遺産分割を行った場合に提出
・特例農地の位置図
(2)市区町村役場へ提出
・相続税の納税猶予に関する適格者証明書証明願:市区町村役場窓口・ホームページで取得
・発行手数料:1通300円
(3)税務署へ提出
基本的に次の書類を準備します。
・相続税の申告書
・相続税の納税猶予に関する適格者証明書:市区町村役場で受け取る
・担保提供書:農地等納税猶予税額・利子税額に見合う担保(例:土地や建物等)を提供するための書類
提出期限は相続税の申告の際に、相続税の納税猶予に関する適格者証明書も添付して提出するので、原則として相続発生の翌日から10ヵ月以内です。
農地の相続税猶予制度は利用するべきか? 注意点など
農地の相続税猶予制度を検討する際は、申請前に確認するべき事柄があります。
注意点
本制度は基本的に相続人が農地を使用し続けないと、納税が猶予されなくなります。次のようなケースでは猶予が打ち切られるので注意しましょう。
・特例農地を譲渡・放棄・転用した
・農業経営をやめてしまった
・生産緑地の買取りの申出があった等
また、相続税の申告期限から3年目ごとに納税猶予適用継続届出書を税務署へ提出しないと、上記のケースに該当しなくても納税猶予が打ち切られてしまいます。納税猶予が確定する提出期限の翌日から2ヵ月以内には必ず提出しましょう。
相談はまず農業委員会へ
申請の条件や手続きに疑問がある場合、農業委員会事務局に相談しましょう。事務局は各市区町村役場に設置されています。
相続税の納税猶予に関する適格者証明書の提出期限は、相続税の申告期限と同じなので、事務局の担当者に申請の流れやアドバイスを聞き、スムーズに申請を進めていくことが大切です。