「上層階=全員賛成」ではない…立ちはだかる“金銭問題”
もっとも、利便性を享受できる立場にある上層階の住民が必ずしも同意するわけではない。
その理由は大きな負担。エレベーター1台の新設には75万~85万元(約1,500万~1,700万円、1元=20円換算)かかる。政府補助金は出るものの、残りは住民が共同負担する。
筆者が住む団地の例では総額78万元。出資比率は、1~2階に住む住民がゼロ、3階が14%、4階が22%、5階が29%、6階が35%となっている。階が高いほど負担率も高くなるという仕組みだ。
これによると筆者の負担は9万元(約180万円)。上海のオフィスワーカーの平均年収19万6,053元(21年)の半分近く。実に高い。
筆者の団地は1980年代末に建設され、住民にはお年寄りの方が多い。論理的に考えればエレベーター需要はあると思う。ただ、2月のアンケート後は何の進展も見られない。賛成か反対かを明らかにしていない住民もいるそうだ。どうやら、「夢のエレベーター新設」は夢のまま終わりそうだ。
上海市の「第14次五ヵ年計画(21~25年)」によると、25年までに1万台以上のエレベーターを新設する計画だ。その実現を期待する......と言いたいところだが、今の団地のエレベーター新設を祈るよりは、エレベーター付のマンションに引っ越した方が現実的とも思えてきた。そんなものかもしれない。
孫 佳賢
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所
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