セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制は、薬局・ドラッグストア等で所定の医薬品を年間で総額1万2,000円を超えて購入した場合に、その超過額が「所得控除」の対象となる制度です。
2つある「医療費控除」の制度のうちの一つです。
従来型の医療費控除は年間の医療費が10万円を超えた場合に超過分が控除できるというものです。セルフメディケーション税制は、それに加え、従来型とどちらか選択的に利用できる制度として、2017年から新たに設けられたものです。
しかし、その後、セルフメディケーション税制はなかなか普及しませんでした。
2020年の「セルフメディケーション税制に関する生活者16万人調査」によると、2020年の時点でさえ、セルフメディケーション税制を利用する意向を示した人は12.1%しかいませんでした。
そこで、2022年分から改定が加えられ、以前より使いやすくなっています。実際に、その後2022年に行われた「生活社15万人調査」では、利用の意向を示した人は20.7%へと増えました。
以下、改定で使いやすくなった点も含め、解説します。
広範な医薬品が対象となっている
まず、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品かどうかは、パッケージに「共通識別マーク」があるので、それを見ればわかります。
また、レシートにも医薬品名に「★」「※」などの印が印字されることになっています。したがって、もし、ドラッグストアでレシートを受け取ったときにこれらの印があったら、保管しておくことをおすすめします。
◆2022年から対象が「スイッチOTC医薬品」から「それ以外」にも拡大
2021年以前は、セルフメディケーションの対象はいわゆる「スイッチOTC医薬品」に限られていました。「スイッチOTC医薬品」は、医療用だったものが市販の医薬品として承認されるようになったものです。
たとえば、鎮痛剤の「ロキソニン」や、花粉症対策の鼻炎薬「アレグラ」などです。
しかし、2022年からはそれに加え、スイッチOTC医薬品以外で薬効が高いものも対象に含まれることになりました(逆に、スイッチOTC医薬品でも、対象から除かれたものがあります)。
スイッチOTC医薬品か否かは問わず、薬効の高さによって実質的に判断するようになったということです。
2023年6月1日時点で、スイッチOTC医薬品は2,724種類、非スイッチOTC医薬品は4,030種類と、非スイッチOTC医薬品の方が多くなっています(厚生労働省「セルフメディケーション税制対象品目一覧」参照)。
対象となる医薬品が拡大されたことにより、制度を利用できる人の範囲が高まり、格段に使いやすくなったといえます。