(※写真はイメージです/PIXTA)

誹謗中傷をされると、加害者に対して損害賠償請求などの法的措置がとれる可能性があります。しかし同じ発言であっても、誹謗中傷に該当する場合としない場合があると、Authense法律事務所の弁護士はいいます。では、法律上どこからが誹謗中傷に該当するのでしょうか? みていきます。

誹謗中傷に対して追求できる「法的責任」

(※写真はイメージです/PIXTA)
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インターネット上などで誹謗中傷を受けた場合、とることのできる法的手段にはどのようなものがあるのでしょうか? はじめに、誹謗中傷に対してとり得る法的対応方法を紹介します。

 

書き込みの削除請求

1つ目の対応方法は、書き込みの削除請求です。

 

※削除請求も民事上の請求にはなりますが、誹謗中傷への対応として最初に検討されることが多いと思われることから、本記事では切り出して1項目として紹介しています。

 

自分に対して誤解を招くようなことや虚偽のこと、暴言など、自分を誹謗中傷する内容が書かれていれば、削除してほしいと感じることでしょう。しかし、削除請求をする際には、次の3点に注意をしなければなりません。

 

1.書き込んだ本人に削除要請をすることは避ける

自分を誹謗中傷する内容を書いた相手に、直接削除要請をすることは避けたほうがよいでしょう。水掛け論となるなど相手がヒートアップしてしまい、さらなる誹謗中傷の原因となりかねないためです。また、自分が言い返した内容によっては、後に損害賠償請求をする際などに不利となる可能性もあります。

 

2.必ずしも削除してもらえるわけではない

SNSなどの管理者(例:X(旧Twitter)の場合X(旧Twitter)社)などに削除要請をしたとしても、あくまでも削除を要請しているにすぎず、裁判所の判決などに基づくものではないため、必ずしも削除に応じてもらえるわけではありません。

 

3.削除されればほかの法的対応が困難となる

自分を誹謗中傷する内容の投稿は、損害賠償請求や刑事告訴の際の証拠となります。そのため、その誹謗中傷に対して損害賠償請求や刑事告訴を検討している場合には、焦って削除請求をすることはおすすめできません。必ず、事前に弁護士などの専門家にご相談いただいたうえで、対応することが推奨されます。

 

刑事上の責任を追求する

誹謗中傷への対応方法の2つ目は、相手に対して刑事上の責任を追求することです。ただし、「誹謗中傷」という罪名の犯罪があるわけではないため、誹謗中傷がただちに刑事罰の対象となるわけではありません。誹謗中傷の内容を個別に判断し、それが刑法上の「侮辱罪」や「名誉毀損罪」、「脅迫罪」などに該当すれば、刑事罰の対象となる可能性があります。刑事告訴を検討したい場合には、弁護士へご相談ください。

 

民事上の責任を追求する

誹謗中傷への対応方法の3つ目であり、もっともスタンダードな方法は、いわゆるプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に基づき、発信者の情報の開示を求める手続きを行ったうえで(以下総称してわかりやすく「発信者情報開示請求」といいます)、加害者に損害賠償請求をし、民事上の責任を追求することです。

 

※先に述べたとおり、削除請求も民事上の請求になりますが、切り出して1項目としたため本項では記載いたしません。

 

「損害賠償請求」とは、誹謗中傷を受けた側が被った財産上や精神上の損害を、金銭で賠償してもらう請求です。損害賠償請求が認められれば、相手から金銭で賠償を受けることが可能となります。

 

その前提として、投稿などにかかる情報や加害者の情報を開示するよう、SNSや掲示板の管理者などやプロバイダへ請求する「発信者情報開示請求」を行うことがほとんどです。こちらは民事の問題であり、損害賠償請求などが認められるかどうかの基準は、刑事罰の対象となるかどうかの基準と同じではありません。

 

また、損害賠償請求が認められたからといって、相手に前科が付くわけではありません。刑事と民事を混同しないよう注意しましょう。

 

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