②事件当日に着用していた下着類を含む衣服
不同意わいせつ事件では被害者と犯人との身体的接触を伴うため、衣服、とりわけ下着に犯人の体液や皮膚片、毛髪などその痕跡が残ることが多いです。また、他方で犯人の身体や衣服に被害者の衣服の繊維が付着していることも往々にあります。
こういった痕跡はDNA鑑定・繊維鑑定にかけられ、犯人の特定に資することになります。事件当日から洗わずに保存しておきましょう。
③録音機器・ドライブレコーダー
密室の中で何が行われたのかを客観的な形で記録しておきたいところです。本件は自動車内で行われた不同意わいせつということですからドライブレコーダーなどでその様子が記録されている場合、これを証拠として提出することが考えられます。
あるいは、日頃からトラブルに備えて録音機器を携帯しているのであれば、いざトラブルとなった場合の録音も証拠として提出することができます。
④相手方とのやりとりを保存したもの
不同意わいせつをはじめとする性犯罪被害は知人から受けるものが圧倒的に多いです。その場合、相手方とのLINEなどのやりとりを証拠として提出することが考えられます。
具体的には会う約束をするやり取りがあれば犯行時に実際に会っていた(犯行が可能であった)ことの証拠になりますし、犯行後に被害者への謝罪や非難など行為についての言及があれば犯行の自白に準ずるものとして証拠になります。そのため、LINE等のスクリーンショットを保存しておきましょう。
示談・慰謝料請求についてはどのように対応するべきか
本人あるいは相手方弁護士が示談を申し出てきた場合、被害者ご本人が直接矢面に立って示談交渉をすることは基本的におすすめしません。
示談内容が不利なものとなってしまう可能性があるだけでなく、心ないことを言われて精神的に深く傷つけられてしまうこともあります(いわゆるセカンドレイプ)。
示談を有利に運ぶためにも、なによりご自身を守るためにも弁護士を通じて示談対応することをおすすめいたします。
また、こちらから受け身になって示談交渉に応じるということ以外にも方法はあります。
不同意わいせつは刑事上罰すべき犯罪行為であるとともに民法上の不法行為も構成するものですから、民事上の慰謝料を弁護士を通じてこちらから請求していくことも考えられます。
不同意わいせつ被害対応の注意点
被害申告の遅れは命取りになります。
被害届の提出や刑事告訴といった被害申告はなるべく早く、できれば被害直後に行いたいところです。
不同意わいせつなどの性被害にはありがちなのですが、被害にあったことをなかなか言い出せず、被害があってから半年や1年といった長期間が経過してから被害申告を行ってしまうことがあります。
このような場合、防犯カメラやレコーダーの保存期間が経過してすでに無くなってしまったり、被害者自身の記憶も事件当時と比較してあやふやになってきてしまったりして証拠の確保が難しくなってきます。
そもそも申告の遅れそれ自体を被害の存在に信憑性がないことの根拠としてとらえられてしまうリスクもあります。とにかく被害申告は遅れないようにしましょう。
示談交渉は慎重に
不同意わいせつなどの性犯罪に巻き込まれて「できるだけたくさんお金を取って報復したい」と考えるお気持ちはわかります。理不尽な被害に遭われた方が、加害者に対して報復として大きな金額を請求したいと考えることは自然なことではあります。
しかし、交渉の方法については注意しなければなりません。
とりわけ「お金を払わないと周囲に言いふらす」「示談金〇〇円を振り込まないと刑事告訴/被害届を出す」などと脅したり、SNSで拡散をするなどしてプレッシャーを加えたりすることは厳に慎んでください。
事実上の効果はあれど、逆にこちらが脅迫や名誉毀損の罪に問われてしまいかねません。示談交渉は粛々と進めていきましょう。先述した相手側からのセカンドレイプなどの懸念点もありますから、極力弁護士を立てて交渉することをおすすめします。