(画像はイメージです/PIXTA)

大切な家族を送る葬儀ですが、ほとんどの方はその「相場」がわからず、葬儀業者に促されるまま内容を決めています。また、近年では非常に安価な価格を広告するところもあり「それなら」と依頼したものの、あとから多額の追加費用が発生するなど、不満や疑問が残るケースも…。葬儀にかかる費用の目安は、どうやって見極めればいいのでしょうか。

「葬儀費用、最安7万円台」で家族葬ができる…!?

誰もが納得できるお葬式の金額。果たして、いくらになるのでしょうか?

 

ここ最近、TVCMやインターネットで「葬儀の仲介業者」が散見され「さもその金額でお葬式ができるかのよう」に、金額が掲げられています。喪主経験のある方なら「その金額以外にも多くの費用がかかる」ことを察知できますが、葬儀が初めての場合には「低価格でできるのね!?」と鵜呑みにしてしまう方もいらっしゃるでしょう。

 

じつは、このような安価な金額は「火葬のみ(直葬)」の料金であり、家族葬やお葬式を執り行うプランとは、まったく別ものなのです。言葉の定義が曖昧なことを逆手に「家族葬(お葬式)が〇〇万円~」などと、広告されている場合もありますので、安くできると誤認しないようにご注意ください。

 

また、火葬のみであったとしても、見えている金額だけでは足りません。多くの場合、大きな文字で書かれた金額の下に、小さく細い文字で「別途料金に関する注意書き」が書かれています。悪質な業者の場合には、この注意書きすら表記されていない場合もあります。

 

さらに、火葬場の料金は地域によって異なります。例えば、東京都内の火葬料金だけを見ても「無料~28万円まで」と幅があり、かなりの金額差があると考えたほうがいいでしょう。このほかにも火葬場関係の費用で、控室・収骨容器などの費用が必要になりますので、広告やホームページに出ている金額で、葬儀のすべてが賄えるわけではないのです

 

また、インターネットで散見される提示金額は、葬儀費用の比較の仕方そのものに問題がある場合もあります。

 

たとえば、いくつかの料金プランを並べたうえで「お葬式の全国平均は120万円」などとし、「私たちのプランはこんなに安いですよ!」とアピールしていますが、この120万円はあくまで「様々な葬儀の平均」であり、含まれた「内容の違う自社のプラン」とを比較して格別に安いように見せかけるのは優良を誤認させる広告といえるでしょう。

葬儀費用は「送り方」によって変動するもの

実際のところお葬式にかかる費用は、十人十色です。特に昨今は流行り病の影響もあり、正確な統計なども存在していないのが実情です。葬儀費用を見積もるためには最低限、人数・場所(式場、火葬場)・宗教形式を設定し、火葬のみ、一日葬、家族葬、お葬式などのいずれかの形式をベースに、必要な費用を見積もっていくのが本来の流れです。反対に諸条件が曖昧なまま、前もって提示されている金額には信憑性がありませんのでご注意ください。

「最低限(火葬のみ)の場合」の葬儀費用とは?

国民の最低限度の生活を保障する生活保護法の葬祭費は、東京23区の場合で約20万円です。火葬する際に必要となる最低限の物品、経費負担の少ない日程、最低限の人件費を合計した上限金額になります。ちなみに経費負担の少ない日程とは、亡くなって1~2日後に火葬できた場合のことです。当然、この日数が長くなるほど、ご遺体を保管するためのドライアイスなどの費用が掛かるので、20万円では収まらなくなります。また、生活保護法で定められた範囲で葬儀を行う場合、主導権はご遺族にはない形になります。

 

火葬式で、この「最低限の金額」以下の数字を掲げている場合は、あとあと追加料金が発生する恐れがあることを理解しておきましょう。「安すぎる葬儀料金」には注意が必要なのです。

葬儀でおさえるべき基本3項目=「①人数・②場所(式場・火葬場)・③宗教形式」

では、一般的にお葬式を挙げた場合、どのくらいの費用がかかるでしょうか?

 

まず大事なのは「①人数」「②式場・火葬場」「③宗教形式」の基本3項目をポイントとして押さえることです。この3つの項目設定がないプランだと、まず間違いなく大幅な追加料金が発生します。

 

具体的な中身ですが「葬儀本体」として、お葬式を請け負い、運営進行を執り行う葬儀社のサービス料・人件費がかかります。

 

その他、「物品関係」としてお棺やドライアイス、「車両関係」では霊柩車や寝台車、「火葬関係」では火葬料金・控室料や収骨容器、「会場費用」としてセレモニーホールや公民館などの借り賃(自宅で行う場合は無料)、そして「お布施」として読経、戒名、お車代などがかかりますが、とくにお布施に含まれる戒名は、宗派や戒名の位によって金額が大きく違ってきます。

 

また、前述した基本3項目のなかでも、たとえば葬儀に参列する人数が増えれば増えるほど、運営する葬儀社が動員するスタッフの人数が増えるので、その分だけ葬儀本体の金額が上がってきます。加えてお通夜と本葬を2日間かけて執り行い、参列者に食事をふるまえば、人数分の飲食接待費や返礼品の費用もかかってきます。

 

ただし、ある程度の人数が集まる葬儀の場合は、参列者からの香典収入があり、施主側の持ち出しは軽減される傾向になります。

 

大切なことは、火葬式、一日葬、家族葬、親族を集めて行うお葬式など、お葬式のタイプをベースに、参列者の人数をはじめとする基本3項目を踏まえた葬儀費用を正確に把握することです。

 

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