(画像はイメージです/PIXTA)

結婚しないまま老後を迎える「おひとりさま」が増えています。配偶者や子がいれば、自分の財産は相続されますが、おひとりさまの場合はどうなるのでしょうか? 本記事では、おひとりさまの財産管理について解説します。

おひとりさまが考えておくべき「終活」のこと

50歳時点における未婚割合は2020年時点で男性28.3%、女性17.8%となっており、年々増加傾向です。もちろん、未婚でも子どもがいる場合などもあり「おひとりさま」と必ずしもイコールではありませんが、おひとりさまが増加している1つの指標であるといえます。

 

出典:内閣府『令和4年版少子化社会対策白書』
[図表]50歳時の未婚割合の推移 出典:内閣府『令和4年版少子化社会対策白書』

 

趣味や仕事、友人との旅行など人生を謳歌している身軽なおひとりさまも、人生後半に差し掛かれば、健康やお金の問題から、多くの方が不安を抱えるようになります。

 

おひとりさまが考えておくべき主な「終活」には、次のものが挙げられます。将来困らないためにも、ある程度余裕をもって対策しておくことが大切です。

入院や入所などの手続き

病院への入院や施設への入所の際には、病院・施設側から身元保証人を求められることが一般的です。また、けがや急病で手術が必要になった際、駆け付けてくれる人がいなければ、手続きが遅れ、治療に支障が出るかもしれません。

 

このような場合に備え、あらかじめ「見守りサービス」や「緊急時の駆け付けサービス」「身元保証契約」などを締結しておくと安心です。

認知症になったときの「お金の管理」をどうすれば…

認知症もまた、心配です。高額商品を売りつけられるリスクはもちろんですが、金融機関が認知症に気づけば、自分の預金が下ろせなくなってしまう可能性もあります。

 

このような事態に備えるには、元気なうちに信頼できる相手と「任意後見契約」を締結しておくとよいでしょう。任意後見契約とは、将来認知症となった際に財産管理を任せることを、あらかじめ公正証書で取り決めておくものです。この契約があれば、仮に認知症になっても、自分が指定した任意後見人が本人に代わって財産管理をするほか、施設入所の契約締結等も可能になります。

私の葬儀やお墓のことは誰に頼めばいい?

おひとりさまは、自分が亡くなった後の葬儀やお墓についても考えておく必要があります。

 

死後にトラブルを残さないためにも、元気なうちに信頼できる相手と「死後事務委任契約」を締結しておく必要があるでしょう。

 

通常「委任」は本人が亡くなると終了しますが、死後事務委任契約は、例外的に本人の死後も効力が続きます。そのため、葬儀やお墓、納骨など自分の死後に生じる手続きについて依頼しておくことが可能です。

おひとりさまでも「相続」が発生することもある

また、相続についても考えておく必要があります。まず、法律で決まった相続人を確認し、そのうえで必要な対策を取るという二段階がおすすめです。

相続人の範囲

まず、自分が亡くなったあと、自分の財産が誰のものになるのかを調べます。法律で決まった相続人は、次のとおりです(順位がある場合、上の順位の人がいなければ、下の順位に移る)。

 

●配偶者

 

●第1順位:子

→子のうち先に亡くなっている人がいれば、その子の子である孫。子も孫も先に亡くなっている場合などはひ孫

 

●第2順位:直系尊属

→両親がともに亡くなっており祖父母が存命なら、その存命の祖父母

 

●第3順位:兄弟姉妹

→兄弟姉妹のうち先に亡くなっている人がいれば、その兄弟姉妹の子である甥姪。なお、甥姪が亡くなっていても、甥姪の子は相続人にならない。

 

おひとりさまでも、親や兄弟姉妹がいれば、その人たちが相続人になります。また、過去に離婚をしている人の場合、離婚した元配偶者は相続人にはなりませんが、その人との間に子がいる場合、子は相続人になります。

 

もし、これらの相続人に該当する人が誰もいない場合、さまざまな手続きを経て、最終的に財産は国のものになります。

自分の望む相手に財産を渡したいなら「遺言書」を作成

自分の相続人を確認し、その方に財産が渡ってもいいと思うなら、とくに問題ありません。しかし場合によっては、ほとんど会っていない兄弟姉妹や甥姪に財産が渡るより、お世話になった友人等に財産を渡したい、団体等へ財産を寄付したいと考える場合もあるでしょう。あるいは、相続人は誰もいないけれど、国に財産が渡るのはいやだという人もいるかもしれません。

 

その場合、「遺言書」を作成しておけば、相続人ではない個人や団体に対して、自分の死後に財産を渡すことができます

 

ただし、遺言書の形式は法律で定められており、正しく作成しなければ無効になってしまいます。また、死後に遺言の内容を実行してもらうには、そのための執行者も依頼しておく必要があります。作成や執行も含めて、専門家にサポートを依頼したほうが安心です。

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