「2,500円の原価割れ」なのに「3,500円の利益」が出るのはナゼ?決算書類からは絶対に読めない「納得の理由」【公認会計士が解説】

「2,500円の原価割れ」なのに「3,500円の利益」が出るのはナゼ?決算書類からは絶対に読めない「納得の理由」【公認会計士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者・ビジネスマンにとって「会社の数字を意識して動けるか」は非常に重要ですが、それは「決算書類を読める」こととはまったく違います。本記事では、「IT」に精通した公認会計士で、会社の利益の最大化という見地からの「会社の数字」の読み方を提唱する金子智朗氏が、著書『管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング』(PHP研究所)から、「会社の数字」の合理的な読み方を解説します。

何らかの費用の回収に貢献するのが「貢献利益」

売上高から変動費だけを引いた利益は、貢献利益とも言います。式で書くと次の通りです。

 

貢献利益=売上高−変動費

 

多くの書籍では、「売上高から変動費だけを引いた利益を『限界利益』または『貢献利益』という」というように、同じものの言い方が2種類あるような書き方がされていますが、言葉が違う以上、概念が違います。

 

貢献利益の「貢献」はどういう意味かというと、固定費の回収に貢献するという意味です。[図表3]のようなイメージです。

 

[図表3]貢献利益

 

ピザ屋を例にとれば、人を雇い、店舗を借りた以上、人件費と賃料は常に固定費として発生します。固定費は、寝ても覚めても遊んでいても、組織に常にドーンと横たわっています。

 

これを、ピザを作って売るごとに、ピザ1枚の個別利益が回収してくれるというイメージです。

 

ピザ1枚の個別利益とは、ピザの売価から材料費という変動費だけを引いた利益です。それが「貢献利益」です。「貢献利益」の本来の意味に基づけば、何らかの費用の回収に貢献する利益はすべて「貢献利益」と言えます。

 

したがって、「貢献利益」と「限界利益」は同じものではなく、「貢献利益」の方が広い概念です。

 

一般的に、「貢献利益」が回収すべき費用が固定費であることが多いので、結果的に「貢献利益」と「限界利益」が一致することが多いだけです。

 

今回のケースのポイントは、やはり「貢献利益」がプラスであることです。

 

新たに現れた顧客の「貢献利益」がプラスということは、たとえその利幅が小さかったとしても、受注しないより受注した方が固定費の回収に間違いなく新たに貢献します。

 

ですから、受注しないより受注した方がいいという判断になるわけです。

 

 

金子 智朗

ブライトワイズコンサルティング合同会社

代表

 

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

管理職3年目までに「会社の数字」に強くなる! 会計思考トレーニング

金子 智朗

PHP研究所

その仕事は外注すべきか、値下げすべきか、この事業から撤退すべきか。 合理的、戦略的に判断をくだす「数字で考える」トレーニング

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