詐欺師が信憑性を持たせるために使う手口
さらにいうと、この手の詐欺話に信憑性を持たせるため、芸能人やスポーツ選手といった有名人・著名人を広告塔にする手法も、よく用いられています。
顧客を集めたパーティ、会員向けに発行される冊子の表紙、あるいは冊子でのインタビュー記事などに有名人・著名人が登場することで、「この人が出ているのだから、きっと大丈夫だろう」という気にさせるのです。
また、最近の傾向としては、お茶の間の誰もが知っている有名人ではなく、元中央省庁の役人、弁護士や公認会計士などといった、世間的に高い信用を得ている人たちが、詐欺業者のアドバイザーに起用されているケースも見られます。
資産所得倍増プランの裏側で深刻化する投資詐欺
資産所得倍増プランは、国として個人の資産運用を支援していこうという話ですが、この手の話が出てくると、投資詐欺が増えるのではないかと心配しています。
もうだいぶ昔の話になりますが、1998年、改正外為法の施行をはじめとした「金融ビッグバン」が行われた時も、投資詐欺が増えたと記憶しています。
改正外為法の施行では、個人でも海外の銀行に口座が開設できるとか、外貨の両替が自由化されるとか、あるいは海外の証券会社と直接取引ができるとか、主に海外投資に関わる部分での自由化が促進されました。
その動きに乗じて、海外のヘッジファンドやプライベートバンク、タックスヘイブン、海外投資信託といった言葉を用いた投資詐欺が、2001年くらいにかけて急増しました。
「国が政策として海外投資を促進させようとしています。これを機に海外のプライベートバンクにお金を預けてみませんか」といった話を持ち出して騙したのです。
資産所得倍増プラン自体は、決して悪いことではありません。これによって誕生する新NISAは、必ずや個人の資産形成に役立つはずです。
だから、資産所得倍増プランに罪はないのですが、世の中には、こうした動きに乗じて悪事を働こうとする不届き者が少なからず存在します。