投資詐欺に引っ掛からないようにする
50歳からの資産形成で絶対に引っ掛かってはいけないのが、投資詐欺です。
投資詐欺に引っ掛かると、託した資金の大半は戻ってきません。犯人は詐欺罪で逮捕され、その会社の資産を差し押さえて現金化し、被害者の持ち分に応じて資金が返還されますが、一般的に分配率は10%にも満たないのが現実だと考えます。
返ってくるのはせいぜい3~5%程度といったところでしょうか。仮に5%の分配率だったとしても、100万円で購入していたら、5万円しか戻ってきません。
退職金など、老後の生活に必要な資金の大半を預けたりしたら、目も当てられません。老後の生活を大幅に見直さなければならなくなるでしょう。
この手の事件に巻き込まれないようにするために、私たちは日頃からどういう点に注意すればいいのでしょうか。それは、投資詐欺の手口を知っておくことでしょう。
最近、よくあるのは、月利でリターンを表示するケースです。月利3~4%程度を提示して、「100万円を1ヵ月運用して、3万円程度の利益なら、簡単に儲かりますよ」というのです。
ここで、「そういうものか」と思った人は注意してください。月利3%を年利に換算すると36%にもなります。年36%ものリターンを挙げるとなると、これは相当程度、リスクの高い案件になります。
そうであるにもかかわらず、投資詐欺を行う人たちは「元本の安全性も確保されていますから」などというのです。
もう、この時点で怪しいと思わなければなりません。
「元本が安全で高利回り」という甘言に騙されないようにするためには、マーケットで形成されている金利水準を把握しておくことです。
日本で最も元本の安全性が高いのは、日本政府が発行している日本国債です。償還期間が10年の長期国債は債券市場で自由に売買されており、そこで形成されている利回りが、元本割れしない金融商品で運用した場合に得られる金利の指標になるといっていいでしょう。
ちなみに、2023年4月7日時点で年0.462%です。元本の安全性を重視した運用を行って得られるリターンが年0.45%前後ということですから、前出のように月利で3%、年利で36%などという運用は成り立つわけがないのです。
しかし、それでも「ひょっとしたらそういう話もあるかもしれない」と思い込ませるようなアイデアを、彼らは持っています。そのひとつが、複雑怪奇な仕組みの商品です。
「海外のヘッジファンドやプライベートバンクで運用します」「タックスヘイブンに設立したSPCを通じて暗号資産やFXで運用します」などといわれて、すぐに仕組みを理解できる人はいないでしょう。
「海外のヘッジファンドやプライベートバンクが運用する」といわれて、その場所がルクセンブルグやバハマ、ケイマン諸島といった、日本から遠く離れた場所になると、わざわざ現地まで行って、実在するのかどうかを確認することもできません。
結果、「まあ、そういう話もあるのかもしれない」などと思い込まされてしまい、詐欺に引っ掛かってしまうのです。