(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職でまとまった額の退職金を受け取った場合、銀行にお金を預けても利率が低すぎて増えず、もったいない気がしてしまいます。銀行がそういう人によく勧める商品に「退職金プラン」というものがあります。しかし、セゾン投信創業者の中野晴啓氏は、そういった「退職金プラン」はおすすめできないといいます。中野氏が著書『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(PHP研究所)より、その理由を解説します。

「退職金プラン」は使わない

銀行が定年退職者向けサービスとして勧めているのが「退職金プラン」です。具体的には、定期預金と投資信託を組み合わせたセット商品です。

 

たとえば1,000万円の資金を運用するなら、リスクが大きくならないように、定期預金で500万円、投資信託で500万円というように分散して預け入れ、定期預金部分については当初は年7%の特別金利が適用される、といった類のプランです。

 

「年7%の特別金利」などといわれると、とても有利なプランであるように思えてくるのではないでしょうか。

 

しかし、この退職金プランには落とし穴があります。

 

まず、年7%の特別金利ですが、これはあくまでも3ヵ月もの定期預金の「当初預入期間のみの適用」になるということです。

 

500万円を年7%で運用すると、

 

500万円×7%=35万円

 

というのが、1年間の運用で得られる利息ですが、年7%の特別金利が適用されるのは3ヵ月間だけなので、実際に得られる利息は、

 

500万円×7%×(3ヵ月÷12ヵ月月)=8万7,500円

 

だけです。

 

それでも3カ月間で8万円超の利息が得られるのだから十分だという声も聞こえてきそうですが、ここにもうひとつの落とし穴があります。何と、この8万7,500円が綺麗(きれい)さっぱりなくなってしまうのです。

 

なぜそんなことが起こるのかというと、1,000万円のうち残り500万円で投資信託を購入しなければならないからです。

 

このプランの商品要項を細かく読むと「対象外となる投資信託があります。また、投資信託を無手数料で購入した場合や、テレフォンバンキング、インターネットバンキングで投資信託を購入した場合も対象外となります」などと書いてあります。

 

何がいいたいのかというと、しっかり購入時手数料のかかる投資信託を買ってもらわないと、金利の優遇はしませんよ、ということです。

 

では、どのくらいの手数料を取られるのでしょうか。

 

たとえば、このプランを扱っているある銀行が販売している投資信託のなかから、世界中の株式に厳選投資するアクティブ型投資信託を例に挙げてみましょう。

次ページ投資信託の購入時手数料の一例

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1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法

1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法

中野 晴啓

PHP研究所

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