公的年金には「任意加入」の制度があります。これは、老齢基礎年金が満額受給できない場合や、受給資格自体が認められない場合に、60歳以降も保険料を納めることで、年金の受給額を増やすことができる制度です。年金制度に詳しい社会保険労務士の小泉正典氏が監修した『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2023-24年最新版』(ART NEXT)から、わかりやすく解説します。
◆ケース2|65歳時点で年金受給資格が2年足りなかった
年金は最低10年(120ヵ月)の加入期間がないと受給資格がありません。受給資格が足りない人は、特例で65歳以上でも任意加入が可能です。
たとえば、65歳で加入期間が8年間しかないフリーランスのBさんは、そのままだと無年金になってしまいますが、2年間任意加入し、加入期間が10年に達すると、年金を受給する資格が得られます([図表2-2]参照)。
◆ケース3|「第3号被保険者」で結婚前の5年間国民年金未加入だった
専業主婦(夫)が「第3号被保険者」の資格を喪失した60歳から5年間、未加入期間すべての年金保険料を納めると、老齢基礎年金を満額受給できます。
5年間支払った保険料は約10年の年金受給で元が取れます([図表2-3]参照)。なお、「繰下げ受給」をすれば老齢基礎年金をさらに増やすことも可能です。
「付加年金」を付けるとさらに年金額アップ
国民年金に任意加入する際に、保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めると、将来受け取る老齢基礎年金に「付加年金」がプラスされます(【図表3】参照)。
付加年金支給額は「付加保険料納付月数×200円」と決まっています。
5年間で納める保険料の総額は2万4,000円なので、2年以上受給すれば、納めた保険料より給付額が上回ります。
小泉 正典
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士
1971年生まれ。栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒業。社会保険労務士小泉事務所代表。一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。
専門分野は、労働・社会保険制度全般、および社員がイキイキと働きやすい職場づくりのコンサルティング。監修書に『知らなきゃ大損!あなたを助ける 社会保障一覧表 2023年度版』(アントレックス)、『60歳からの「届け出」だけでお金がもらえる本』『知って得する!60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』『60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』『知った人から得をする! 60歳からの「届け出」だけでもらえるお金 最新版』(すべて宝島社)、『最新版 図解「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)があるほか、メディア出演、講演、セミナーなども多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「届け出」だけでもらえるお金も…60歳からの得する! 年金