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償還期間の長い米国債は「利回り低下」の見通し

多くの機関投資家やファンドは、リスク資産や国債を一時的に売却しても、「現預金」で持ち越すことはできません。投資家からの解約通知を受領して、これを認めるまでは、リスク資産や国債のかたちで持ち続ける必要があります。

 

まず、A. 運用ガイドライン(=投資家と運用会社とのとりきめ)の制約で、多額の現金保有ができない場合が考えられます。たとえば、株式に投資をする基金において、「つねに資産の○○%以上は上場株式もしくはETFで保有する」という制限がある場合などです。

 

あるいは、B. たとえば、本邦の金融機関は、米国の銀行に開設している口座を通じてドルのやりとりをしていますが、1日の終わりの時点で、そうした米国の銀行に多額のドルを寝かせることはできません。なぜなら、それは、一民間企業(米国の銀行など)に対する多額の与信・無担保貸付に該当してしまうためです。

 

ですから、仮に多額の資金を積み上げる場合には、短期の米国債などの信用力と流動性の高い金融資産で持ち越す必要があります。

 

多くの投資家は、株式などのリスク資産や(償還3ヵ月以内といった)超短期の米国債(割引債、Tビル)から、償還期日が6ヵ月や12ヵ月、あるいはそれよりも若干長めの米国債に、資金をシフトさせる可能性があります。

 

まして、投資家や家計のなかでの漠然とした不安が強まれば、景況感が悪化して、金融緩和の見込みが強まることで、金利の低下が景況感と整合性を持つ可能性も考えられます。

 

短期的にリスク回避が高まるが、価格はファンダメンタルズに回帰する

総じて、短期的には、リスク回避的な動きが強まり、金融市場が大きく調整することが考えられます。しかし、債務上限問題にともなうデフォルト自体は米国債やドルのファンダメンタルズを恒久的に下方にシフトさせるものではありません。

 

あらためて申し上げるまでもなく、あらゆる資産価格は、米国を中心とする実体経済のファンダメンタルズに沿うような評価に収れんしていくと考えられます。

 

我々が見るべきは、10年先や20年先の経済や企業のファンダメンタルズです。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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