(※写真はイメージです/PIXTA)

相続財産にはプラスのものもあればマイナスもあります。どちらにしても手続きは簡単とはいえず、期限があるものも。親が負債まみれなら、当然、相続は回避したいところ。その選択肢のひとつが、相続放棄です。自分では問題ないと思っていても、意外な落とし穴があったりもして…。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、相続放棄における注意点について、藤井貴之弁護士に解説していただきました。

裁判所が積極的に資産等の調査を行うことはない

家庭裁判所に相続放棄申述書を提出後、家庭裁判所から照会書・回答書が送付されることがあります。照会書・回答書の内容は、管轄の家庭裁判所ごとに内容が異なりますが、概ね相続開始を知ることになった経緯や、債務超過であることを知った経緯(債務超過である場合)、被相続人の死亡後、被相続人の財産を処分したり、債務を弁済したことがあるかどうかなどです。

 

もしここで、債務を弁済したことがある場合などでは、そのとおり回答する必要があります。回答書を返送しなければ相続放棄の却下がなされることもあると考えられますが、相続放棄(申述)は、明らかに却下すべき理由がない限り受理するよう運用されており、却下率は0.2%程度です。

 

このほか、家庭裁判所が積極的に被相続人の資産・負債等を調査するようなことはありません。

 

アオイさんの事例でも、家庭裁判所の照会に対して相続人固有の財産による被相続人の債務の支払をしたに過ぎない旨を回答書にて回答することで、特に領収書等の提出も求められることなく、相続放棄申述は受理されるものと考えられます。

法定単純承認事由となる相続財産の「処分」について

法定単純承認事由となる相続財産の「処分」には、相続人が相続財産の売却・贈与などの法律上の処分行為のほか、相続財産の破損又は取壊しするなどの事実上の処分行為などが含まれます。

 

一方で、相続人を受取人とする生命保険金を受領すること、相続人が相続人固有の財産から被相続人の債務を弁済することは、「処分」には該当しません。

 

このほか、被相続人が賃貸マンションで一人暮らしをしていた場合、マンションの賃貸借契約を相続人において速やかに解約するよう求められることがありますが、賃貸借契約の解約は、賃借権を消滅させる行為であり、処分行為と評価される可能性があります。

 

したがって、相続放棄後に事務管理として賃貸借契約の解約を行う又は賃貸人から賃貸借契約を解除してもらうなどの対応を行うべきと考えられます。

 

このように、相続放棄(申述)を予定している場合には、安易な対応を行うことで、後の手続に支障を生じることがあるため、まずは弁護士に相談して対応することをおすすめいたします。

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