グローバル大企業への就職人気は続く
ESG推進に積極的なグローバル大企業ほど、「人・モノ・金」の「人」を惹き寄せる。
就職先企業ブランディングを行うユニバーサム社の「世界で最も魅力的な勤め先トップ50(Top 50 World’s Most Attractive Employers)」によると、過去10年、ビジネス専攻の学生の間ではグーグル、マイクロソフト、アップルを筆頭に世界的にビジネスを展開する企業が毎年上位に名前を連ねる。
エンジニアリングやIT専攻の学生の間でも、大きな差はない。
同調査によると、日本でもグーグル、アップル、アマゾンは上位10社に入る([図表1]参照)。
社会的欲求が強く高学歴の若者はESGとの相性が良い。ESG推進企業の持つ魅力は国境を超えて訴えかけてくるのである。
とりわけ、日本社会が世界的に大きく出遅れている女性の採用、登用においては、グローバル大企業が格段の差をつけている。グローバル大企業は、日本企業に依然として多い「年功序列」ではなく、実力・成果主義で人事制度を運用する。
さらに、昨今、グローバル大企業は、日本企業よりも育休の取得を積極的に支援し、ワークシェアリング等により実際に短時間勤務を推進できる土壌を持っている。
制度は存在するが実態として活用されていない、あるいは出産後に仕事内容が変わり、キャリアトラックから外れることが少なくない日本企業での勤務とは大違いである。
グローバル大企業が提供するのは働きやすさだけではない。
口コミによる企業情報共有サイト「OpenWork」を運営するオープンワーク社が2021年7月発表した「女性の成長環境がある企業ランキング」では、グローバル大企業が1、2位を独占し、上位5社中3社が外資系大手企業だった。
1位だったP&Gジャパンは、日本で約30年にわたって女性活躍推進など活動を展開している。P&Gジャパンの女性管理職比率は36.5%、女性役員比率は26.7%と日本平均の10.7%、7.5%をそれぞれはるかに上回る。
最近では、LGBTQや障害者に対象範囲を広げた多様性に関する研修を行うほか、自社が培ってきた女性活用に関する知見やノウハウを社外に広める活動も積極的に展開する。
無償提供する管理職向けの研修の社外からの参加者は、2016年からの累計で約730社、約4800人にのぼる。
OpenWork上では、P&Gジャパンの女性社員から「女性も男性も全く意識したことはない」「男女による業務上の差別などは感じたことがない」「女性の管理職も多く、制度も整っています」などのコメントが寄せられ、実態として女性が女性であることを意識せずに働いていることが分かる。
なお、2021年1月オープンワーク社が発表した「社員が選ぶ『働きがいのある企業ランキング』」でもP&Gジャパンはトップに選ばれており、女性だけでなく働きがいを求める男性にも高く評価されてきた。