台湾が持つ驚きの軍事力…。中国による有事の際、台湾が投入可能な驚くべき「予備役動員数」とは【専門家が解説】

台湾が持つ驚きの軍事力…。中国による有事の際、台湾が投入可能な驚くべき「予備役動員数」とは【専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「台湾有事は日本有事」の危機が叫ばれる中、中国軍の本当の実力を解明することは喫緊の課題であり、中国の各種工作やマスコミなどの極端な論調に惑わされない冷静な判断が必要である、と元陸上自衛隊の樋口氏は言います。日本が直面する危機にどう備えるべきか、日本の安全保障・防衛体制強化の観点から考えます。本連載は、樋口譲次氏の著書『中国軍、その本当の実力は』(国書刊行会)を一部編集したものです。

台湾の地理的特性が「中国の着上陸侵攻に及ぼす影響」

台湾は、アジア大陸から約130〜180km離れた東南の沿海、太平洋の西岸に位置している。日本列島からフィリピンにわたる、太平洋と東シナ海・南シナ海を隔てる弧状に連なる群島(第一列島線)の中央にあることから、アジア太平洋地域の海と空の主要な通路になっている。また、中国などの専制主義・強権主義国家とグローバルに対立する民主主義国家の最前線に位置しており、 地政戦略的に極めて重要な地位を占めている。

 

首都は台北市で、人口は約2300万人、総面積は約3万6000平方キロメートルで、日本の 九州とほぼ同面積である。

 

台湾本島は、南北長約395km、東西最大幅約144kmで、南北に細長く東西が狭い島である。太平洋寄りの山脈が北から南へと全島を貫く東高西低の地形で、台湾東部と西部河川の分水嶺になっている。全島面積の3分2が高山や森林地で占められている山岳中心の地形で、その南側の玉山山脈は主峰が4000mほどあり、東北アジアの最高峰である。標高3000m以上の峰は約200箇所に上り、台湾東部は急峻ですぐ海に落ちている。

 

その他の地域は高地、丘陵、台地、盆地、平地、平原および海岸で構成され、平坦地の大部分は西部地区に集中している。西部地区と東部地区の縦谷内にわずかにある平野の多くは狭く、人口密集地帯となっており、着上陸侵攻の適地は13〜14の比較的小規模な海岸に限られている。

 

また、台湾は100以上の島々で構成されている。台湾南西部に位置する澎湖諸島は、中国軍が本島侵攻前に占領し侵攻基盤・兵站基盤を設定する可能性が高い。その他に、中国大陸に近接し数次の台湾海峡危機の舞台となった金門・馬祖島があり、台湾が実効支配しているが、中国が領有権を主張している南シナ海の東沙諸島や太平洋(イトゥアバ島)などの戦略的重要性の高い島々を除けば、図上で発見し難いほどの小さな島々である。

中国の台湾侵攻に必要な兵力

ノルマンディー上陸作戦における連合軍の兵力約200万人に対しドイツ軍は約30万人、沖縄戦における連合軍の兵力約55万人に対し日本軍は陸軍を中心に約10万人で、いずれも連合軍の兵力が圧倒的に優勢であった。

 

中国が台湾を侵攻するためには、果たしてどれほどの兵力が必要なのであろうか。

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