台湾の地理的特性が「中国の着上陸侵攻に及ぼす影響」
台湾は、アジア大陸から約130〜180km離れた東南の沿海、太平洋の西岸に位置している。日本列島からフィリピンにわたる、太平洋と東シナ海・南シナ海を隔てる弧状に連なる群島(第一列島線)の中央にあることから、アジア太平洋地域の海と空の主要な通路になっている。また、中国などの専制主義・強権主義国家とグローバルに対立する民主主義国家の最前線に位置しており、 地政戦略的に極めて重要な地位を占めている。
首都は台北市で、人口は約2300万人、総面積は約3万6000平方キロメートルで、日本の 九州とほぼ同面積である。
台湾本島は、南北長約395km、東西最大幅約144kmで、南北に細長く東西が狭い島である。太平洋寄りの山脈が北から南へと全島を貫く東高西低の地形で、台湾東部と西部河川の分水嶺になっている。全島面積の3分2が高山や森林地で占められている山岳中心の地形で、その南側の玉山山脈は主峰が4000mほどあり、東北アジアの最高峰である。標高3000m以上の峰は約200箇所に上り、台湾東部は急峻ですぐ海に落ちている。
その他の地域は高地、丘陵、台地、盆地、平地、平原および海岸で構成され、平坦地の大部分は西部地区に集中している。西部地区と東部地区の縦谷内にわずかにある平野の多くは狭く、人口密集地帯となっており、着上陸侵攻の適地は13〜14の比較的小規模な海岸に限られている。
また、台湾は100以上の島々で構成されている。台湾南西部に位置する澎湖諸島は、中国軍が本島侵攻前に占領し侵攻基盤・兵站基盤を設定する可能性が高い。その他に、中国大陸に近接し数次の台湾海峡危機の舞台となった金門・馬祖島があり、台湾が実効支配しているが、中国が領有権を主張している南シナ海の東沙諸島や太平洋(イトゥアバ島)などの戦略的重要性の高い島々を除けば、図上で発見し難いほどの小さな島々である。
中国の台湾侵攻に必要な兵力
ノルマンディー上陸作戦における連合軍の兵力約200万人に対しドイツ軍は約30万人、沖縄戦における連合軍の兵力約55万人に対し日本軍は陸軍を中心に約10万人で、いずれも連合軍の兵力が圧倒的に優勢であった。
中国が台湾を侵攻するためには、果たしてどれほどの兵力が必要なのであろうか。