今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は会社の資金状況がわかる「キャッシュ・フロー計算書」について解説します。
キャッシュ・フロー計算書が必要となるワケ
残金ゼロで、この2つの取引しかなかったとしたら、損益計算書には「売上高100万円」「売上原価70万円」「利益30万円」と計上され、30万円の黒字になります([図表2]参照)。
しかし、キャッシュ・フローは「収入0万円」「支出70万円」「残高-70万円」になるのです([図表3]参照)。
30万円も利益が出ているのに、会社にいくらお金があるかと思ったら、なんとマイナス70万円!
利益と一致していないどころか、これでは会社が危険な状況、まさに黒字倒産の危機です!
このように「収益と現金収入」と「費用と現金支出」には、ズレが生じます。この結果、「利益」と「現金収支」もズレが生ずるのです。お金と利益は奇跡でも起こらない限り、必ずズレます! そのため、お金の流れを把握するためにキャッシュ・フロー計算書が必要なのです。
キャッシュ・フロー計算書は損益計算書の「利益」についてお金の裏付けを示し、決算書を読んだ方が利益の質を評価する手段として使います。
前述した例のように、損益計算書の利益が同じ会社でもキャッシュ・フローに差があれば「キャッシュの多い企業が資金獲得能力に優れ業績が良い」と考えるべきでしょう。
■Point!
期首にあった現金が、期末いくらになったかを確認する!
石川 和男
合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら
合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員
合格率No.1簿記講師、税理士、建設会社総務経理担当役員。
1968年北海道生まれ。埼玉県在住。「偏差値30、名前を書けば全員合格」と言われた高校・大学を卒業後、建設会社に入社。経理部に配属されるが、簿記の知識はゼロ。上司に叱られ怒鳴られ、意志の弱さから毎日飲み歩き遊びまくりの生活を続け、気づいたときには30代に。そんな不安を打ち消すため、一念発起して日商簿記3級の勉強を始める。その後、日商簿記2級、宅地建物取引業主任者試験、1級建設業経理士と、難易度を上げながらなんとか合格。
建設会社退職後、税理士試験に挑戦するも2年で一度挫折。しかし、通っていた大手専門学校で講師として採用される。当時35歳という年齢での採用は異例の抜擢だったが、はじめて受け持った担当クラスが全員合格。偏差値30から教える立場になったという経歴から、理解できない気持ちが理解できる講師と評判になり人気講師に。
また、建設業経理事務士や宅地建物取引業主任者資格を持っていたため建設会社にも就職。2年間無職だった生活から、土日は専門学校の講師、平日は建設会社の総務経理を担当するまでに。最終的に、3年間休止していた税理士試験にも再度挑戦し合格。
偏差値30の全員合格の高校を卒業してから35年目の現在、税理士、建設会社で総務経理を担当しながら、簿記講師として全国各地でセミナーを開催している。
『会計の用語図鑑』(KADOKAWA)、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(ともに明日香出版社)、『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)など著書多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載決算書は「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」