恐怖の「黒字倒産」はこうして起こる!
キャッシュ・フロー計算書の前に、小遣い帳を思い出してみてください。
小学生のころ、新年から気持ちも新たに小遣い帳をつけませんでしたか?
財布のなかには去年から入っていた3,000円。1月1日に父親からお年玉を5,000円、おじいちゃんから10,000円、親戚のおじさんから5,000円……1月8日4,000円のプラモデルを購入、1月10日10,000円を貯金、1月25日お小遣い5,000円……12月末までつけ続け、12月31日の現金の残高は7,200円。
キャッシュ・フロー計算書は、会社の小遣い帳のようなものです。
最初に持っていたお金(期首残高)に1年間の増減を加え、最後にお金がいくら残ったのか(期末残高)を明らかにしています。
違うのは、小遣い帳が「日付順」に記録しているのに対し、キャッシュ・フロー計算書は「営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業CF)」、「投資活動によるキャッシュ・フロー(以下、投資CF)」「財務活動によるキャッシュ・フロー(以下、財務CF)」と原因別に分けて、お金の流れを記録していることです([図表1]参照)。
キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間のお金の流れを本業と日々の活動(営業CF)、事業や設備の将来への投資(投資CF)、金融機関からの資金の調達や返済(財務CF)に分けて報告する決算書です。
文字どおり「現金(キャッシュ)の流れ(フロー)を示す計算書」で、貸借対照表や損益計算書だけでは読み取ることのできない会社のお金の流れを追うことができます。
実際のお金の動きを追いかけるので、誤魔化しはききません。客観的な事実のみが開示されます。
損益計算書では、利益が出ているのに資金繰りが悪くて倒産する!
なぜ、そんなことが起こるのでしょうか?
それは、現金の「収益・費用」と、「収入・支出」の計上にズレが生ずるからです。簡単にいうと、当期の収益が当期の現金収入と一致するとは限らず、当期の費用も当期の支出と一致するとは限らないからです。
「当期の収益≠当期の現金収入」
「当期の費用≠当期の現金支出」
もちろん、「現金70万円を支払って仕入れた消しゴムを100万円で販売して現金を受け取る」「電気代もガス代も交通費もすべての取引を現金払いにする」ということなら、「当期の収益=当期の現金収入」「当期の費用=当期の現金支出」で一致します。
しかし、70万円分の消しゴムを現金で仕入れ、100万円で販売した代金は決算日の90日後に受け取る約束だとどうなるでしょう?
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