脳の血行を促進する「DHA」と「EPA」
「さ」は魚、魚介類を指します。かつては魚と大豆製品が日本人の重要なたんぱく源でしたが、最近は「調理が面倒」「骨があって食べにくい」と日本人の魚離れが進んでいます。
ある大手食品会社の調査によると、食卓に魚が登場する頻度が「毎日」や「週5~6日程度」という人は、全体のわずか10%程度だったそうです。もっとも多かったのは「週1~2日程度」で約40%。「2週間に1日程度」という家庭も約10%もあったといいます。
しかし子どもの脳を健康に育てようと思うのであれば、もっと積極的にとってほしいのが魚介類です。
特にカツオ、サバ、ブリ、サンマ、アジといった青背の魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)というオメガ3系不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。このオメガ3系不飽和脂肪酸こそ、現代の食生活で積極的にとりたい「よい油」です。
[図表]魚のDHA、EPA量(参考)
EPAとDHAは、ともに血液をサラサラにして血栓を予防する、血圧やコレステロール値・中性脂肪値の改善など、さまざまな健康効果が知られています。
なかでも注目したいのは、DHAには脳の血流を増加させ、脳や神経細胞の発育を促進する働きがあることです。ほかにも集中力を持続させる、ストレスを和らげ精神を安定させるといった作用もあり、医師が認知症の予防・改善にDHAを用いることもあります。
またDHAは、目の網膜や視神経にとっても重要な栄養素で、視覚の情報をスムーズに脳に伝えるためにも役立つとされています。
少し前に、魚を食べると頭が良くなる、という歌が流行ったことがありましたが、それは科学的にも正解といってよさそうです。
DHA・EPAのほかにも、カキやイカ、サザエなどに多く含まれているタウリンという成分は、ミネラルを正常に働かせ、脳を保護すると言われています。またサケや真鯛、イクラ、サクラエビなどに含まれる赤い色素成分であるアスタキサンチンは、強力な抗酸化作用をもち、免疫機能を向上させます。
できるだけ「魚の油」を落とさないように調理
魚の食べ方としては焼き魚、煮魚、刺身、ホイル焼き、酢締め、汁物の具などがあります。
ただし網焼きなどで魚の油を落としてしまうとDHA・EPAも多少減ってしまいます。煮魚やホイル焼き、汁物の具にして汁ごと食べる、刺身で食べるというほうが栄養のロスは少なくなります。
魚について一つだけ注意したいのは、マグロ、カジキ、サメ類などの大型魚は、水銀などの重金属を含んでいることです。妊娠中の女性でなければそれほど神経質になる必要はありませんが、特定の魚にかたよらず、金属汚染の少ない小型魚を中心に、幅広い種類の魚介をとるようにしたいものです。