いまだ終息の兆しがみられないロシア・ウクライナ戦争。このようななか、元陸将の渡部悦和氏と井上武氏、元海将補の佐々木孝博氏は、ロシアによる「“戦術核”使用の可能性」について警鐘を鳴らします。では、具体的にロシアがどのような状況になると「核兵器の使用」を決断してしまうのか、みていきましょう。※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。
「最悪の事態」覚悟は必要も…現段階では可能性低いか
渡部 最近の西側のロシア専門家や安全保障専門家の議論で、プーチンが戦術核を使用することは難しいのではないかという主張も有力になっているように感じます。
米国の国家安全保障担当大統領補佐官ジェイク・サリバンは9月25日、「核兵器のいかなる使用もロシアに壊滅的な結果をもたらすことを、ロシア政府に直接非常に高いレベルで伝えている」と述べています。
最近、欧米諸国から一様に発せられている「プーチンの核の脅しには毅然として対応する」というメッセージは重要だと思います。
いずれにしても、プーチンの戦術核の使用に関しては、最悪の事態を覚悟して備えなければいけないと思います。
現時点で言えることは、プーチンの戦術核使用に対するNATOの対応としては、まずは通常兵器で対応するということです。ただその後、状況を見て戦術核の使用に踏み切ることもあるでしょう。
渡部 悦和
元陸上自衛隊 陸将
井上 武
元陸上自衛隊 陸将
佐々木 孝博
元海上自衛隊 海将補
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前・富士通システム統合研究所安全保障研究所長
元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー
元陸上自衛隊東部方面総監
1978(昭和53)年、東京大学卒業後、陸上自衛隊入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、函館駐屯地司令、東京地方協力本部長、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011(平成23)年に東部方面総監。2013年退職。著書に『米中戦争―そのとき日本は』(講談社現代新書)、『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)、『日本の有事』(ワニブックス【PLUS】新書)、共著に『台湾有事と日本の安全保障』『現代戦争論―超「超限戦」』(ともにワニブックス【PLUS】新書)がある。
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連載元自衛隊幹部が解説…ロシア・ウクライナ戦争の“本質”
元陸将
1954年徳島県生まれ。元陸将。1978年、防衛大学校卒(22期)。陸上自衛隊入隊後、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、在ドイツ防衛駐在官、陸上自衛隊富士学校長等を経て、2013年退職。陸上自衛隊の最新兵器について『月刊JADI』(日本防衛装備工業会)等の雑誌に数多く寄稿。
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元海将補
1962年東京都生まれ。元海将補。1986年防衛大学校卒(30期)、博士(学術)。海上自衛隊入隊後、オーストラリア海軍大学留学、在ロシア防衛駐在官等を経て、下関基地隊司令。2018年退職。著書に『近未来戦の核心 サイバー戦』(育鵬社)など。
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