法人営業での複業
営業職において、よく挙げられるのが法人営業における複業です。具体的には、アポイント獲得、商談実施などがあります。複業先のサービスに興味のある企業のアポイント獲得を担当し、実際の商談は複業先の正社員と共に実施するケースや、アポイント獲得から商談まですべて1人で実施するケースなどさまざまです。
アポイント獲得では、アポイント獲得ベースでの成果報酬(1アポイントあたりの単価報酬)が一般的です。比較的自分の好きな時間帯で働くことができるため、土日や終業後に複業をすることも可能です。
商談まで含まれる場合は、平日の営業時間内での時間確保が必要となることが多いです。オンラインでのやりとりが基本となるため複業人材を採用する企業側としては、場所を問わず依頼ができる点でメリットがあります。地方企業が都心で営業活動をしたい場合、都心の人材を複業で採用して、エリアの開拓を任せるといった営業方法も可能です。
<法人営業の複業のメリット>
法人営業における複業のメリットは、本業の企業の看板(肩書き)を借りることなく、自分の営業力の腕試しをすることができる点です。
本業で取り扱っている営業商材とは全く異なる商材で営業をしてみることで、自身の営業力を認識できます。さらに足りない部分を複業で経験し、補うことで、リスキリング、営業力向上にもつながるため、本業での営業活動に還元することもできるはずです。金銭報酬につながり、非金銭報酬であるスキル報酬にも直結する一石二鳥の複業です。
営業企画での複業
続いて、営業企画での複業についてです。営業企画では、複業先の営業戦略の組み立てから具体的な営業手法をアクションにまで落とし込むような営業企画全般の支援を複業で行うイメージです。
複業先のサービスの売り上げ向上のための営業戦略を経営者や営業部長と策定し、営業ツールの選定や営業管理ツールの構築などを行う効率的な営業のためのサポートなどが、ニーズとしても多くあります。
複業人材を採用する企業側としては、経験者のアイデアを取り入れることで、最短距離で、かつ成功確率の高い営業戦略を立案できるというメリットがあります。
<営業企画の複業の働き方>
日々営業力を培っていく中で、自身のステージアップのため、より上流の営業企画の経験を積みたいという願望を持つ人は多くいると思います。そんなときに複業で経験を積むことで、自身のスキルへの自信や経験も身に付くでしょう。現職で営業企画を担当している人は、違う商材を複業で扱うことで新しい発見やスキルアップにもつながります。
働き方としては、複業先と打ち合わせがある場合は基本的に複業先の営業時間内となりますが、思考や設計をする時間は自分の時間として終業後や土日に実施することが可能です。
営業企画の場合の報酬は、月額固定で報酬を受け取ることが一般的です。複業先に常駐するというよりは、週1〜2回ほどの打ち合わせ+戦略や施策を策定する作業時間+オンラインでのチャットやメールでのやり取り、という関わり方をイメージしましょう。
複業を経て「市場価値の高い営業人材」へ
数年の間に営業手法は大きく変化しています。
対面での営業も継続して存在しながらも、オンラインで全国どこにでも営業することができるようになり、商材にもよりますが、全国各地が「商圏」となりました。
つまり、企業として売り上げや利益を生み出していくための営業戦略や手法もアップデートを余儀なくされている現代において、営業経験のある外部の有スキル者・有人脈者の市場価値が高まってきたといえます。
営業職という非常に人口の多い職種の中で、抜きん出た市場価値を持つためには、汎用性と再現性のあるスキルが不可欠です。将来的に、自社の商材しか売れない営業では、先行き不透明な時代において市場価値が相対的に下がっていくでしょう。
そのため、営業職の人こそ早い段階でこの事実に気付き、さまざまな商材を扱うことができる再現性のある営業力と経験を身につける必要があります。
さらに売るだけではなく、売れる組織、売れる戦略を組み立てることができる営業企画のスキルも複業で養うことで、市場価値の高い営業人材になれるでしょう。ぜひ参考にして複業に一歩を踏み出してみてください。
大林 尚朝
複業エバンジェリスト
株式会社Another works 代表取締役
1992年生まれ、大分県出身。早稲田大学法学部卒業。
2015年、パソナグループ入社。顧問やフリーランスなど業務委託人材紹介の新規事業に従事。年間最優秀賞など多数受賞。2018年、株式会社ビズリーチ(現.ビジョナル株式会社)入社。M&Aプラットフォームの事業立ち上げを行う。
2019年、株式会社Another works創業。複業したい個人と企業や自治体を繋ぐ、成功報酬無料の総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を開発・運営。創業4年で累計1,000社以上が導入、50,000名以上が登録、70自治体以上と複業での地域活性に係る連携協定を締結、テレビや新聞など400件以上の掲載実績を誇る。
複業、経営・組織戦略、キャリア構築、地域活性をテーマに発信し、行政や教育機関をはじめ100件以上に登壇、「日本経済新聞」など多数のメディアでも取り上げられている。