ミドルシニア層こそ「複業」でセカンドキャリアに挑戦
これからは、終身雇用を前提としたキャリアを歩んできたミドルシニア層も人生100年時代の中で「複業」を通じてリスキリングやキャリア構築をしていく時代になると予測しています。
新卒で入社した企業一筋で一貫したキャリアを形成してきたり、1つのスキル・専門性を磨いてきたり、ミドルシニア層に突入をしたとき、一念発起して転職をしようとした際には家庭をもっていたり、何かと挑戦しづらいと思ってしまうことが多いのではないでしょうか。
しかし、私はミドルシニア層こそ会社の規模を超えた「越境」複業をすることでセカンドキャリアに挑戦できると考えています。
先行きが不確実な「VUCA(Volatility〔変動性〕、Uncertainty〔不確実性〕、Complexity〔複雑性〕、Ambiguity〔曖昧性〕)*」の現代において、市場価値自体の不安定性も加速しています(*参考文献…World Economic Forum、2015年、Outlook on the Global Agenda 2015)。
昨日まで価値のあったスキルも明日には価値を持たない、ということもあり得る時代になっているのです。ミドルシニア層にとっても、リスキリングなどで学び直す期間や、規模を超えた越境(大手からベンチャー企業など)での職場環境のチェンジなど、越境複業が重要になってきます。
企業が求める、ミドルシニア層だからこその「強み」
ミドルシニア層の中には「複業で自分に何ができるか分からない」というケースもありますが、今までに培ったネットワークやマネジメントスキル、所属企業ならではの知見や経験、人脈などを求めている中小企業やスタートアップ企業は多く存在します。地方企業や自治体にとっても豊富なビジネス経験の保有者は稀有な存在です。ミドルシニア層こそ積極的に自分の知識・経験・人脈を還元する気持ちで新しい挑戦をしていくと良いでしょう。
また、前述のようにミドルシニア層の大手企業からベンチャー企業、あるいはベンチャー企業から大手企業といった、会社の規模の越境も重要です。今までの日本の経済振興を支えてきたミドルシニア層が、越境複業し、これからの日本を支えていくベンチャー企業へ参画することが増えれば、きっとより良い循環が生まれるはずです。
実際に複業マッチングプラットフォームを運営する中で、ミドルシニア層のサービス登録も年々増えています。自身の長年培ってきた知識・経験・人脈を「顧問」や「社外取締役」などで活かすセカンドキャリアを模索するケースが増えているのです。
例えば、競業避止義務などをクリアにした前提ではありますが、大手製薬メーカー出身者が創業ベンチャーの経営顧問として参画する、大手銀行出身者がFinTech(金融×IT)ベンチャーの社外取締役に就任する、というケースなどが当てはまります。
人生100年時代、複業で「次の働き方」を考える
複業は若手のキャリア設計のためにある、という考え方は全く違います。
ミドルシニア層も複業は必ず選択肢に入れるべきです。豊富な知識・経験・人脈を求める企業は多くありますし、人生100年時代の中でキャリアと向き合うタイミングは必ず訪れます。複業がしやすくなった現代だからこそ、一度自身の強みを活かした次の働き方を考えてみても良いのではないでしょうか。
大林 尚朝
複業エバンジェリスト
株式会社Another works 代表取締役
1992年生まれ、大分県出身。早稲田大学法学部卒業。
2015年、パソナグループ入社。顧問やフリーランスなど業務委託人材紹介の新規事業に従事。年間最優秀賞など多数受賞。2018年、株式会社ビズリーチ(現.ビジョナル株式会社)入社。M&Aプラットフォームの事業立ち上げを行う。
2019年、株式会社Another works創業。複業したい個人と企業や自治体を繋ぐ、成功報酬無料の総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を開発・運営。創業4年で累計1,000社以上が導入、50,000名以上が登録、70自治体以上と複業での地域活性に係る連携協定を締結、テレビや新聞など400件以上の掲載実績を誇る。
複業、経営・組織戦略、キャリア構築、地域活性をテーマに発信し、行政や教育機関をはじめ100件以上に登壇、「日本経済新聞」など多数のメディアでも取り上げられている。