人材難が続く日本では、「人事職」は引っ張りだこの職種
人事職でイメージしやすい仕事は「採用」でしょうか。複業で企業の採用に携わることで、非常に魅力的かつ責任のある業務を行うことができます。
採用でも経験者(中途)採用、新卒採用、アルバイト採用、外国人採用と多岐にわたり年間を通じて採用を行っている企業も多く、常時複業案件があります。
採用支援には、複業先の採用戦略の策定や打ち手のアドバイスをするような全般的な支援から、採用媒体におけるスカウトなどの運用代行や求人出稿代行による候補者の母集団形成、エントリー数を増やすような支援まで幅広くあります。応募のあった採用候補者の書類選考やスケジュール調整などの支援も複業で行うことができるため、複業先の採用の上流工程から手を動かす部分まで幅広く携わることができるでしょう。
特に近年ではどの企業も悩んでいるエンジニア採用を複業人事が支援するケースも増えています。エンジニア専門の採用媒体の運用、エンジニアに強く訴求することができる求人の作り方やエンジニアコミュニティの作成・運用なども複業で携わることができます。エンジニアに限らず、人材難が続く日本において、人事は今後も圧倒的な人気を誇る職種になるでしょう。
本職人事なら、複業人事で「再現性のある人事スキル」を目指す
本業で人事として新卒採用をメインミッションにしている場合は、複業で経験者(中途)採用やエンジニア採用に携わることで、採用におけるスペシャリストを目指すこともできるでしょう。経験者(中途)採用をメインにしている場合は、新卒採用や外国人採用に複業でコミットすることで採用のプロフェッショナルになれるかもしれません。
大手企業で人事をしている場合は規模や採用予算の全く異なるベンチャー企業で複業をすることで、大手企業とベンチャー企業という規模の異なる環境での採用を経験することができ、本業にも活かすことができると同時に、汎用的かつ企業規模にかかわらずどこでも発揮することができる再現性のある人事スキルを獲得することができます。逆にベンチャー企業で人事をしている場合は、大手企業で複業をすることで、大きな予算を動かしながら採用を行う経験を積むことができるでしょう。
報酬の目安は「月5~30万円」。複業での働き方とは?
働き方もさまざまですが、採用媒体の運用支援であればオンラインで完結する場合が多いです。採用戦略など上流部分の設計などに携わる場合は複業先の人事チームの働き方に合わせた形になるため、柔軟な対応が必要です。
前提として、しっかりと複業時間割を作成した上で、面談で働き方について摺り合わせをするようにしましょう。
採用は経営において非常に重要なミッションです。時には、打ち合わせの頻度が多くなったり、急な依頼が発生したりするケースも想定されます。人事の複業は慣れるまでは何社も掛け持つことはせずに、しっかりコミットできる社数(できれば余裕を持った社数)ではじめることをオススメします。案件が過多になって、(すべての職種に言えることですが)中途半端になると複業先や採用候補者に迷惑がかかり、最悪の場合は複業先の信用低下につながるリスクもあります。責任感をもって複業をはじめましょう。
報酬に関しては、月額固定で受け取る形がほとんどです。マーケティング職と同様に、自身の培ってきた採用経験や独自のノウハウを時給という時間単位で切り出すことは現実的ではありません。
金額は複業先の採用予算などによってさまざまですが、月額5万円から30万円ほどが一般的です。もちろん採用難易度や関わる工数によって上振れする可能性は十分ありますが、目安として参考にしてみてください。
複業人事は「未経験者」にもオススメ。運用支援で実績を積む
人事未経験の人がジョブチェンジを狙って複業で挑戦するのも良いでしょう。
営業経験者や人とのコミュニケーションが好きな人には、人事職はマッチするかもしれません。何事もやってみないと分かりません。いきなり本業で異動願いを出す前に、まずは複業で挑戦してみることをオススメします。
その場合、まずは採用媒体の運用や書類選考などから参画してみてはいかがでしょうか。採用戦略などの上流部分はかなり難易度の高い、経験者でなければ分からない領域になってくるため、運用支援など学びながら挑戦できる領域から複業をはじめてみることも一つの手段です。
未経験の場合はスキル報酬、経験報酬などの非金銭報酬を目的に挑戦しても良いかもしれません。業務に慣れてから挑戦する、採用が成功するまでは非金銭報酬で関わってみる、など基準を決めることも1つのやり方です。
「採用以外の人事業務」も複業でチャレンジ
人事制度の構築支援や研修の設計、労務のサポートなども人事の複業案件です。人事制度が未整備の企業に対して複業でアドバイスをしたり、企業のセキュリティ研修やコンプライアンス研修などの企画に複業で関わったり、社会保険などの労務事務のサポートを行ったり、本当に幅広い業務があるのが人事の特徴です。
だからこそ、今まで人事として何をメインミッションとして貢献したか、日常の業務であっても具体的にどのような業務を行ったのか、改めて今までの人事業務を棚卸しすることで、ピンポイントで困っている業務を企業から複業で依頼され、支援することにつながるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。
大林 尚朝
複業エバンジェリスト
株式会社Another works 代表取締役
1992年生まれ、大分県出身。早稲田大学法学部卒業。
2015年、パソナグループ入社。顧問やフリーランスなど業務委託人材紹介の新規事業に従事。年間最優秀賞など多数受賞。2018年、株式会社ビズリーチ(現.ビジョナル株式会社)入社。M&Aプラットフォームの事業立ち上げを行う。
2019年、株式会社Another works創業。複業したい個人と企業や自治体を繋ぐ、成功報酬無料の総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を開発・運営。創業4年で累計1,000社以上が導入、50,000名以上が登録、70自治体以上と複業での地域活性に係る連携協定を締結、テレビや新聞など400件以上の掲載実績を誇る。
複業、経営・組織戦略、キャリア構築、地域活性をテーマに発信し、行政や教育機関をはじめ100件以上に登壇、「日本経済新聞」など多数のメディアでも取り上げられている。