「日本の高等教育」統計情報から見えてくる問題点
文科省は毎年「諸外国の教育統計」を公開しているが、2021年度版の情報を要約した。次の数値は児童・生徒・学生数から見る私立学校の割合となっている。
●幼稚園や保育所などの就学前教育では、「日本」77.4%、「アメリカ」28.7%、「イギリス」(初等中等学校も含む)5.6%、「フランス」13.0%、「ドイツ」64.9%、「韓国」74.6%となっている。
●小学校から高校までの初等中等教育では、「日本」10.6%、「アメリカ」10.1%、「イギリス」(就学前教育も含む)5.6%、「フランス」18.5%、「ドイツ」8.3%、「韓国」15.6%となっている。因みに日本は、小・中学校に比べて高等学校における私立の割合が高くなっていて、日本は小・中学校の1.2%と7.6%に対して、高等学校が32.8%となっている。
●大学や大学院、短期大学等の高等教育では、「日本」74.9%、「アメリカ」26.3%、「ドイツ」8.6%、「韓国」80.1%となっている。イギリスの割合表示がなかったのだが、オックスフォードやケンブリッジ等の有名校を含め、殆どが国公立大学と定義されているが、どうも特殊な制度の様だ。
以上の様に、日本の高等教育における私立の割合は突出している。欧米では、学校教育は国が行うべきとの哲学があるのではないだろうか。学校教育は、学びたい人であれば誰でも学べる様な仕組みにする必要があるのだが、日本では残念ながら、収入の低い家庭の子息が高等教育を受ける権利が守られていない。これは最優先で解決すべき問題ではないだろうか。
因みに、フランスやドイツでの公立大学の授業料はほぼゼロだが、イギリスは日本の国公立よりも高い。またアメリカの公立大学は日本の国公立よりも若干高いが、私立は日本の私立の倍以上である。今の日本の状況から、私学と公立との比率をヨーロッパレベルにするのは大変だが、せめてアメリカレベルの水準まで早急にもっていく必要がある。