安易な共有で後々問題が発生した事例
【事案の概要】
●祖父は15年前に他界、その際、30戸の賃貸マンションを父(A)、叔母(B)、叔父(C)の3人で相続し、共有にした。
●A、Bは賃貸マンションから遠方に住んでおり、賃貸マンションはCが管理していた。
●賃料収入は経費を除いた純収益をA、B、Cの3人で等分していた。
●Cは5年前に他界し、その後、Cの持ち分は叔父の長男(D)が相続し、賃貸マンションを管理していた。
●Dが管理することになってから空室が増えてきた。
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Dは生活に困窮しているらしく、AのもとにDから以下のような要望が届きました。
①Dの持ち分を購入してほしい。
②持ち分を購入してもらえないなら賃貸マンションを一棟ごと売却し、その代金を分けたい。
この要望に対して、Aの意向は以下の通りでした。
①Dの持ち分を購入してほしい。→ 現金余力がなく、難しい。
②持ち分を購入してもらえないなら賃貸マンションを一棟ごと売却し、その代金を分けたい。→ 賃貸マンションの敷地は先祖代々引き継いできた土地であり、その土地を第三者に売却するわけにはいかない。
Aは近年物忘れが多くなっており、大きなお金が関係する話は心配であることから、Aの長男(E)が代理として対応することになりました。そこでEが叔母であるBに相談したところ、BもAとほぼ同意見であるが、年齢のこともあるので交渉はEに任せたいとのことでした。
Eが現地の賃貸マンションに行ってみたところ、立地は良好ですが、建物の共用部分は荒れており、壁面も塗装の剥がれや錆があるなど、維持管理状態は劣悪なものでした。そのためEは、近年の空室の増加はDの維持管理に問題があると考えました。