「収入が低い→大学へ行けない」…「裕福な国・日本」の「私立が多すぎる」という危機的状況

「収入が低い→大学へ行けない」…「裕福な国・日本」の「私立が多すぎる」という危機的状況
(※写真はイメージです/PIXTA)

コンサルタント・松本繁治氏が、文科省公開「諸外国の教育統計」などとともに「私立学校の割合」について解説します。

裕福な国なのに…金銭的理由から大学進学を諦める若者

一つの例として、アメリカの二つの州の人口と、公立大学の学生数を比較した(各種HPやWikipedia から集計)。数値は左から、人口/国公立大学の学生数/対人口比(%)である。

 

●ルイジアナ州:約460万人/約13万人/2.8%

 

●モンタナ州:約108万人/約3.4万人/3.1%

 

上記と日本での似た人口の県と比較したい。

 

●福岡県:約510万人/約2.7万人/0.5%

 

●石川県:約110万人/約0.9万人/0.8%

 

参考として東京都と高知県の状況は次の通りである。

 

●東京都:約1400万人/約4.2万人/0.3%

 

●高知県:約68万人/約0.85万人/1.2%

 

この数値データを見てどう思われるだろうか。この情報から推測するに、アメリカは対人口比で3%程の学生が、国公立大学に通っている。一方日本では、対人口比で0.5%程しか国公立大学に通えていない。この差はあまりにも大きい。

 

因みに、国公立大学に通っている学生数が約60万人で、私立大学に通っている学生数が約215万人との事であった。60万人はほぼ人口の0.5%なので、上記データからの推測は凡そ当たっている。因みに文科省の情報では、大学・大学院・短大を合わせた学生数は、国公立が約75 万人で、私立が223万人である。

 

日本は世界的に見て裕福な国であるハズなのに、金銭的理由から大学進学を諦める若者や、残念ながら私立高校に入った生徒の中で辞める生徒も少なからずいる。高校までは希望者がほぼ全員が公立高校に進学できる仕組みが必要で、そして大学でも進学希望者の多くが国公立の大学に進学できる仕組みが必要である。

 

先にも述べた様に、国公立の大学を増やす必要があるのはあくまで授業料の問題であって、私立であっても手頃な授業料であれば問題はかなり削減できる。国公立大学を増やすのが難しければ、授業料の補填を早急に考える必要がある。

 

因みに、オリンピック競技の強化費は、2012年頃の30億円代から、ここ数年は100億円ほどまでに増えている。その結果、オリンピックの獲得メダル数が増えた事は国民として誇らしい事ではあるが、普通の教育を十二分に行った上で、オリンピック競技への資金を捻出して欲しい。

 

そしてこのオリンピックの強化費を増加した事による結果を見れば、教育にもお金を使えば優秀な人材を育てられると云う事である。

 

 

松本 繁治

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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