(※写真はイメージです/PIXTA)

後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』から、「遺贈」について書かれた記事を一部編集してお届けする。

遺贈の放棄はどのようにする? 方法を解説

遺贈の放棄の方法は包括遺贈と特定遺贈とで異なります。

 

包括遺贈の方法

包括遺贈の放棄を希望する場合、相続放棄に関する規定が適用されるため、裁判所で手続きしなければいけません。

 

包括遺贈放棄の申述手続きは、遺贈者の最後の住所地の家庭裁判所で行います。主に次の書類を家庭裁判所へ提出します。

 

・申述書:家庭裁判所で用紙を取得

・遺言書贈与者(遺言者)の住民票除票または戸籍の附票:市区町村役場で取得

・申述人(放棄する人)および遺贈者の戸籍謄本:それぞれの本籍地の市区町村役場で取得

・収入印紙:800円分、郵便局・コンビニ等で取得

・連絡用郵便切手数百円分

 

特定遺贈の方法

特定遺贈の放棄方法については、他の受贈者や相続人等に対して口頭で伝えるだけで構いません。ただし、放棄した証拠を残すことにより以後のトラブルの発生は未然に防止できます。

 

そのため、例えば内容証明郵便で相手方に意思表示した方が、書面で証拠は残るので安心です。

遺贈の放棄はいつまでにやる? 期限をチェック

遺贈の放棄期限も包括遺贈と特定遺贈で違いがあります。包括遺贈の場合は受遺者である事実を知ってから3ヵ月以内に、家庭裁判所へ申述する手続きが必要です。

 

一方、特定遺贈の受遺者はいつでも放棄できます。ただし、特定受遺者がいつまで経っても遺贈の承認・放棄を決めかねていると、相続手続きが進まなくなります。

 

このような場合には、他の相続人が相当の期間を定めて、特定受遺者が遺贈を承認するか、それとも放棄するのか催告ができます。

遺贈にはどのような税金がかかるのか

遺贈に関する税金には「相続税」「不動産取得税」「登録免許税」があります。

 

相続税について

遺贈の取得を容認した受贈者には相続税が課せられます。ただし、受贈者が法定相続人の場合は相続税の「基礎控除」が適用され「3,000万円+法定相続人数×600万円」が基礎控除として財産の合計額から差し引けます。

 

例えば財産の合計額が4,000万円、相続人が3人の場合は

 

3,000万円+3人×600万円=4,800万円

 

4,800万円以内が基礎控除分となるので、こちらのケースで相続税は非課税となります。

 

一方、法定相続人以外の人に遺贈する場合(例:子が法定相続人の場合に孫へ遺贈した等)も想定されます。法定相続人以外の受贈者は基礎控除が対象外であるばかりか、相続税が2割増しとなります。

 

不動産取得税について

遺贈者の不動産を特定遺贈で取得した相続人以外の受贈者は、不動産取得税を納める必要があります。不動産取得税の税率は2024年3月31日まで次の通りです。

 

・住宅:3%

・住宅以外の家屋:4%

・土地:3%

 

登録免許税について

不動産の所有権移転登記をする際は登録免許税もかかります。税率も受贈者が相続人か相続人以外の人で違ってきます。

 

・相続人が受贈者:固定資産税評価額×0.4%

・相続人以外の人が受贈者:固定資産税評価額×2%

遺贈の放棄をされた財産はどうなる?

放棄された場合は、包括遺贈ならば法定相続分に従い、各相続人に遺産が承継されます。一方、特定遺贈ならば対象財産を遺産分割協議に組み入れ、相続人間で分割方法をどうするのか話し合うことになるでしょう。

 

包括遺贈または特定遺贈を放棄したからといって、放棄した受贈者が何も取得できなくなるわけではありません。受贈者が相続人である場合、遺贈の放棄と相続放棄は別物とされているので、法定相続分で分け直す方法も可能です。

 

ただし、遺贈を放棄した場合は原則として後から撤回ができません。遺贈の仕組みがよくわからない場合や、自分だけで承認や放棄を決めるのに不安を感じたら相続の専門家である「相続診断士」へ相談してみるのもおすすめです。

 

相続診断士は相続の全般について有益なアドバイスが期待できる専門資格者です。まず相続診断士へ遺贈等に関する不安や悩みを聞いてもらい、助言を求めれば、以後のトラブルも未然に回避できます。

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』からの転載記事です。

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