「ママ、破産するわよ!」築古賃貸マンション保有の70代母、娘の言葉届かず…維持費250万円の大邸宅で、今日も優雅なティータイム【争続事例解説】

「ママ、破産するわよ!」築古賃貸マンション保有の70代母、娘の言葉届かず…維持費250万円の大邸宅で、今日も優雅なティータイム【争続事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

土地持ちの夫を亡くした高齢女性は、夫の遺産で優雅なひとり暮らしをしています。しかし、相続した賃貸マンションは老朽化して価値が下がり、200坪の大邸宅にも多額の維持管理費用が発生しています。家を出た娘たちは母の状況を心配しますが…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、事例をもとに解説します。

相談母親が賃貸事業を改善したい

今回の相談者は、40代の加藤さんとその妹さんの2人です。70代の母親が持っている賃貸物件の収益が下がっていることを心配し、相談に乗ってほしいと筆者のもとを訪れました。

 

「15年前に亡くなった父は農家の長男で、祖父から多くの土地を相続しました。その後は相続対策として億単位の借入をして、2棟の賃貸マンションを建設したのです。マンション以外にも、地元企業に土地を貸していて、母はそれらの賃貸収入で悠々自適の生活していたのですが…」

 

加藤さん曰く、賃貸マンションは、築年数が進んだことでサブリースの賃料が下げられたほか、リフォーム代もかさむなど、収支はマイナスになっているそうです。このままでは不安なため、対策を考えたいということでした。

賃貸マンションも自宅も「マイナス資産」状態

筆者と提携先の税理士が確認したところ、2棟の賃貸マンションにはいまだに多額の借入が残っており、毎月の返済こそできていますが、固定資産税や修繕費・管理費などの経費を引くと確かにマイナスです。企業へ貸している土地の収益でなんとか補填できているといった、綱渡りの状況でした。

 

なかでも、筆者と税理士が注目したのは、加藤さんの母親の自宅です。なんと、200坪もの広い敷地に建築された大邸宅で、母親が1人暮しをしています。

 

固定資産税はもちろんですが、築40年という築古であり、昨年は屋根や外壁の修繕に高額な費用がかかっているほか、広い庭は定期的な手入れも必須で、昨年だけでこの家の維持費に年間250万円かかっています。

 

今後もこうした費用はかかり続けることになりますが、自宅は収益がなく、長女である加藤さんも、二女である加藤さんの妹も、すでに自宅を保有しており、特例も使えません。

 

「去年、自宅の大改修を行うと聞いたとき、私も妹も大反対したんです。〈こんなにお金をかけてどうするの? もう手放して、どちらかの家に来るか、手ごろなマンションに引っ越しなさいよ〉って…」

 

「もちろん、姉からも私からも、マンションの家賃が下がっていることは伝えています。ですが、まったく聞く耳を持たず、〈ママは、このお家が好きなのよ〉といってお茶を飲んでいて。〈ケーキ焼いたのよ〉とかいって、まったく現状を理解していません。このままでは破産してしまうかも…」

 

現状のような不動産の維持管理では、税金や各種費用にお金が流れてしまうだけで、メリットはなく、対策は必須だといえます。

 

筆者と税理士からは、下記のように提案を行いました。

 

●母親の自宅

広い敷地に1人暮しは非効率。売却し、バリアフリーのコンパクトなマンションに住み替えるのが現実的。もしくは、いずれかの娘の家に同居するのも選択肢。

 

●賃貸マンション

維持するには賃料アップが必須。現状のサブリース契約を解消し、普通管理で賃料の差額を確保する。ただし、賃料アップが実現しても、さらに築年数が経過すれば満室維持が難しく、修繕費の支出も増えていく。そのため、早めに売却し、別の新しい物件に買い換えることを優先して考えたほうがいい。

 

話を聞いた加藤さん姉妹は納得した表情で、

 

「時間はかかるかもしれませんが、母を説得してみます」

 

といってお帰りになりました。

 

資産家の方の多くは、ずっと同じ形状で財産を維持し続けようとされます。200坪の敷地の邸宅は、すばらしい財産に見えますが、年間250万円もの持ち出しがあるのなら、そもそも財産とはいえない状況です。このままの状態で財産を残しても、子どもたちにとっては負担になるばかりです。

 

時代に合わせ、維持できる形に変えていき、負担なく有利な保有が実現してこそ、本当の財産だといえます。そのためには、発想の転換と思い切った決断が必要になるのです。

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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