(※写真はイメージです/PIXTA)

中国が定期的に“不穏な動き”をみせる尖閣諸島問題。日本は「遺憾の意」を示すものの実質放置。同盟国であるアメリカも我関せずの姿勢です。日本人としてこうした状況に不安を覚える人も少なくありませんが、東京大学名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏は、こうした対応にはワケがあるといいます。詳しくみていきましょう。

日本経済を“取り仕切る”「MSA協定」とは

【矢作】1853年にマシュー・ペリーが浦賀に来航した後、「泰平の眠りを覚ます上喜撰たつた四杯で夜も寝られず」という狂歌が流行りましたね。

 

日本はいつでも、たいがい眠り過ぎなのです。難しい理屈うんぬんの以前に、残念ながら世界はまだまだ力が正義であって、自立できなければ駄目なんですね。

 

そして、自立するということになったら、マナーとして、本来の自立とはなにかということを知っていなければいけません。スタンダードと言ってもいいのですが、世界を動かしている人たちの考え方が理解できていない時点で、もはやマナーに反しているわけです。最低限そのぐらいのことはわきまえましょうというのが重要なのだろうと思いますね。

 

【宮澤】しっかり認識しておかなければいけないのは、日米同盟の背景に、1954年(昭和29年)に公布された「MSA協定」(MSA、Mutual Security Act、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定)があるということです。

 

来たるべき日本の再軍備に向けて結んだ、武器を調達する時の日本の買い取りの際に、わかりやすく言えば日本の民事法の諾成契約(当事者の合意だけで成立する契約)のようなものがMSA協定なのですが、これがなければ日本の戦後の復興はなかった。

 

そして、日本経済を現在においても取り仕切っているのがMSA協定です。

 

【矢作】停戦して、サンフランシスコ平和条約で日米間の安全保障と行政協定が結ばれたあとに、露骨に言ってしまえば、日本をアメリカに都合の良い市場にするために設けられた協定ですね。

 

【宮澤】逆に言うと、MSA協定があるからこそ日米同盟は機能しています。

 

しかしながら、MSA協定については、評論家や学者も含めて多くの人はほとんど理解していないので重要視していません。MSA協定のことがわからずに、日米の関係がわかるはずがないんですね。

 

 

矢作 直樹

東京大学名誉教授

宮澤 信一

国際実務家

 

※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

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※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

矢作 直樹

ワニブックス

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